ビットコインの移動平均線クロスは勝てるのか:12年分のバックテスト検証
この記事を読むとこうなります
→ ビットコインで移動平均線クロスを機械的に売買するだけで、実際に勝てていたのかが分かります
→ 移動平均線の期間設定を変えるだけで結果がどれだけ変わるかが分かります
→ 設定次第ではバイ&ホールドを上回ることもある一方、そうでない設定もあることが分かります
「短期の移動平均線が長期の移動平均線を上抜けたら買い(ゴールデンクロス)、下抜けたら売り(デッドクロス)」という手法は、値動きの荒いビットコインでも使われることがあります。以前の記事ではUSD/JPY・EUR/USD・GBP/JPYの3通貨ペアで検証しましたが、今回はビットコイン(BTC/USD)で同じ手法をバックテストしました。なお、当サイトが実際に取引しているブローカー口座のBTC/USDデータは2022年8月以降しか残っていないため、より長い期間で検証するためYahoo Financeが公開している日足終値データ(2014年9月〜、約12年分)を使用しています。
検証方法
ビットコイン(BTC/USD)の日足終値データを使い、3種類の移動平均線クロス(短期5日/長期20日、短期20日/長期50日、短期50日/長期200日)で、常にロングかショートのどちらかのポジションを持ち続けるシンプルなモデルでシミュレーションしました。ビットコインは2014年の数百ドルから現在の数万ドル台まで価格帯が大きく変わっているため、取引コストは固定の金額ではなく取引時点の価格に対して0.05%という比率で想定し、ポジション転換のたびに差し引いた上で、同じ期間の「買ってそのまま持ち続けた場合(バイ&ホールド)」と比較しています。スリッページや資金調達コストは考慮していない簡易的なモデルである点にご留意ください。
検証結果:移動平均線クロスがバイ&ホールドを超えた設定も
| 設定 | 累積損益(コスト考慮後) | 取引回数 |
|---|---|---|
| MA5/20クロス | +59,781.93ドル | 245回 |
| MA20/50クロス | +90,289.42ドル | 95回 |
| MA50/200クロス | +20,772.98ドル | 20回 |
| バイ&ホールド | +78,203.56ドル | — |
(バイ&ホールドはMA50/200と同じ期間(2015年4月4日〜2026年9月8日)で比較。1BTCを保有し続けた場合の累積損益。)

今回目を引くのは、MA20/50クロスだけがバイ&ホールド(+78,203.56ドル)を上回る+90,289.42ドルという成績を出したことです。一方で同じビットコインでも、MA5/20は+59,781.93ドル、MA50/200は+20,772.98ドルと、どちらもバイ&ホールドには届いていません。3種類のうち1つだけがバイ&ホールドを超える、という結果は、以前の通貨ペアの検証で見えた「パラメータ次第で結果がバラバラになる」という傾向と同じ構図です。
もしMA20/50の結果だけを取り出して「ビットコインは移動平均線クロスで勝てる」と紹介すれば、それらしく聞こえてしまいます。しかし同じ資産・同じ手法でも設定を変えれば逆の結論になり得るという事実は、後から都合の良いパラメータを選んで「これが勝てる設定です」と紹介することの危うさ(カーブフィッティング=過去データに合わせ込みすぎること)を示す例だと考えられます。
ここで以前の通貨ペアの検証と見比べると、似ている点と違う点の両方が見えてきます。GBP/JPYではMA50/200が+205.3円という好成績を出す一方、同じ通貨ペアのMA20/50は-106.9円という大きな損失になっており、「パラメータ次第で結果がバラバラになる」点はビットコインと共通しています。一方で違いもあります。通貨ペアではEUR/USDのMA5/20(-0.181ドル)のように、マイナスに沈む設定も普通に出てきましたが、ビットコインは3設定ともプラス圏にとどまり、バイ&ホールドに届いたかどうかの差にとどまりました。通貨ペアは二国間の金利差や購買力を軸に長期的にはレンジ的な値動きに戻りやすいのに対し、ビットコインはこの十数年、新しい資産クラスとしての普及や希少性を背景に方向感の強い右肩上がりの相場が続いてきたことが、この違いの背景にあると考えられます。
まとめ
- ビットコインを対象に移動平均線クロスを機械的に売買するモデルでは、MA20/50クロスのみバイ&ホールドを上回り、MA5/20・MA50/200は届かなかった
- 同じ資産でもパラメータ次第で結果が大きく変わり、「安定して機能する万能のクロス設定」は存在しないことが改めて確認できた
- 通貨ペアの検証ではマイナスに沈む設定もあったのに対し、ビットコインは3設定ともプラス圏にとどまっており、右肩上がりの相場つきの違いが結果に表れている
- 移動平均線そのものが無意味というわけではなく、トレンドの方向感を掴む補助的な道具として使うのが実態に即している
- 本検証はスプレッド等を簡易的に想定した簡易モデルであり、実際の取引成績とは異なる点に留意が必要
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