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FXチャート分析の定番!移動平均線の見方、使い方を徹底解析します

FXのチャート分析を行うテクニカル分析には、多くの手法がありますが、その中でもっともポピュラーで愛用者が多いのがこの「移動平均線」です。

MT4などのチャートツールでは「Moving Average」と表現され、一般的には略して「MA」と呼ばれています。

複数の線と組み合わせることで、相場のトレンドを把握することができたり、売買タイミングを計るシグナルとして利用することもできるなど、初心者の方でも簡単に取り扱うことができる一方で、FX上級者でも使用している、とても奥が深いインジケーターと言われています。

この記事では、「移動平均線」の使い方や、設定方法、どうやってトレードに活用するかなど、分かりやすく解説いたします。この記事を最後まで読んでいただくことで、これまで使っていた「移動平均線」が、もっと意味のあるものになり、とても有効なインジケーターとして見直すきっかけになると思います。

移動平均線とは

では、移動平均線とはいったいどんなものなのでしょうか。

移動平均線は、簡単に言うと「ある一定期間内の平均価格を、チャート上に描いて作られるテクニカル指標」のことです。つまり、「一定期間の、終値の平均値」をつなぎ合わせ、チャート上に線で引いたものになります。

移動平均線には、3つの種類があります。

  • 単純移動平均線(SMA)
  • 指数平滑移動平均線(EMA)
  • 加重移動平均線(WMA)

これらは、平均の出し方がそれぞれ少し違っています。ここでは簡単に説明します。

移動平均線の算出(20日間)

単純移動平均線(Simple Moving Average)

単純移動平均線は、ある一定の期間の終値を、単純に平均してその値をチャート上に表しているものです。

一般的に移動平均線といえば、この単純移動平均線を意味します。考え方もシンプルでもっともよく使われますので、この記事では、この単純移動平均線をつかって説明していきます。

※上図、①~⑳の値をすべて足した数を20で割った値が「赤い線」 の「⑳の位置の値」になります。

指数平滑移動平均線(Exponential Moving Average)

指数平滑移動平均線は、直近の価格に比重を高く反映させ、残りの日は影響を低く構成して算出します。例えば、20日EMAの場合、20日目の価格を2倍にして計算し、21で割った値をつなげて線にします。

他の移動平均線に比べ、もっとも直近の値の影響を受けるため、相場の動き(トレンド転換)を早めに確認することができます。その代わりにダマシも多いことが特徴です。

※上図、①~⑳までの値の合計と、さらに⑳の値を足して、「21」で割った値が「青い線」 の「⑳の位置の値」になります。

加重移動平均線(Weighted Moving Average)

加重移動平均線は、指数平滑移動平均線(EMA)と同じように、直近の価格に比重を置き、トレンドの転換を早めに確認できます。

ですが、 先程の指数平滑移動平均線(EMA)に比べて、それほど直近の値に影響されないため、単純移動平均線と、指数平滑移動平均線のだいたい中間の動きをする移動平均線と言えます。

例えば、5日目の価格を5倍、4日目の価格を4倍、3日目の価格を3倍、2日目の価格を2倍にして計算します。

※上図、①の値と②の2倍の値と③の3倍の値と…⑳の値を20倍の値を合計して、それを(1+2+3+4…20=「210」)で割った値が「緑の線」の「⑳の位置の値」になります。

このように、移動平均線といっても計算方法が異なるやり方があり、とても繊細なインジケーターであることが分かります。

移動平均線で分かること

移動平均線にいくつかの種類があることが分かりましたが、ではこの移動平均線を、実際のチャートに当てはめてみた時、どんなことが分かるようになるのでしょうか。いくつか挙げてみましょう。

相場のトレンドを見分ける

まず一つ目の大きな特徴として、「相場が上昇しているのか、下降しているのか、横ばいの状態なのか」を見極めることができます。

つまり、移動平均線が右上に上がっていくような線を描いているときは上昇、右下に下がっていくような線を描いているときは下降のトレンドを形成していると言えます。

買い勢力が優勢:上昇トレンド

移動平均線より上にローソク足が多くなっています。これは、平均よりも買いの勢力が優勢であることを意味します。移動平均線の上にローソク足があるうちは、買いトレンドであると言えます。

売り勢力が優勢:下降トレンド

移動平均線よりも下にローソク足が集まっています。これは、平均よりも売りの勢力が優勢であることを意味しています。移動平均線の下にローソク足があるうちは、売りトレンドであると言えます。

このように相場の勢い(トレンド)を視覚的に感じることは、相場の動きを読む上でとても重要な要素になっていることは間違いありません。どれくらい上昇トレンドが続いてきているのか、いろいろな時間足(5分足、15分足、1時間足など)でのトレンド方向は「上」なのか「下」なのかを視覚的に確認し、これからまだこのトレンドが続くのかどうかを予測するためにとても有効になってきますので、しっかりと理解しておきましょう。

移動平均線は短期・中期・長期に分けられる

移動平均線は、設定によっていろいろな使い方ができるようになっています。特に移動平均線は「短期」「中期」「長期」の設定に使い分けることが一般的です。その代表となる例が、

  • 短期線 … 5日線(5MA)
  • 中期線 … 25日線(25MA)
  • 長期線 … 75日線(75MA)

で設定するのが一般的です。(※自分に合った設定を見つけるのもよいです)

上図のように、5MA(短期線)では、2度も下降トレンドに入っていますが、25MA(中期線)が上昇トレンドを継続しているようなことがあります。

このように、5MAだけをみて、上昇トレンドが終わって下降トレンドになるかもしれないと思い、売りを入れてしまうところを、25MAを引いておくことで、まだ慌てて売りを入れる必要がないことが分かるのです。

「短期線」・「中期線」・「長期線」はこのようにして利用します。

短期線中期線長期線
日足(ひあし)5日25日75日または100日、200日
週足(しゅうあし)9週13週26または52週
月足(つきあし)12か月24か月60または120か月
短期・中期・長期:おすすめの設定

移動平均線を使ったテクニック

それでは、この移動平均線を使って実際のトレードでテクニカル指標として利用するには、どのような手法があるのかを、これからご説明します。

移動平均線とローソク足との乖離を利用する

移動平均線は、相場の価格の平均値なので、この平均値を大きく逸脱(いつだつ)するような動きをした場合、その後に平均値まで戻ってくる、ということが予想されます。

それを利用して、大きく乖離したところでエントリーして、平均値(移動平均線上)まで戻ってきたら決済するというテクニックです。

移動平均線からの乖離を利用したテクニック

上図のように、これまでの流れとは大きく違った動きが発生し、移動平均線よりも上の方に乖離しています。これを見計らって「売り」を入れ、移動平均線まで戻ってきたところで決済しています。

移動平均線からの乖離が、どこまで離れるかは予想することが難しいため、乖離から少し戻ってくるところでエントリーするのがコツと言えます。

さらにこの場合の損切りラインは、図のような「エントリーポイントの直近高値(買いであれば直近安値)」に損切りラインを引くのが一般的です。

上でも書いたように、移動平均線からの乖離は、どこまで離れていくか判断するのが難しいため、損切りラインの深さについては、自分のリスクリワードルールによって決める場合もあります。

(※「リスクリワード」…1回のトレードにおける「リスク(損失)」と「リワード(報酬)」の比率)

ゴールデンクロス・デッドクロスを利用する

「ゴールデンクロス・デッドクロス」という言葉をご存じでしょうか。FXではよく見られる言葉です。簡単に説明すると、

  • ゴールデンクロス … 短期線が中期線もしくは長期線を上方向に抜けていく現象をいいます。
  • デッドクロス   … ゴールデンクロスとは逆に、短期線が中期線もしくは長期線を下方向に抜けていく現象をいいます。

上図のように、短期線(赤)が中期線(青)を上に抜けてくると、そのまま上昇を続けていく可能性が高く、また反対に、短期線が中期線を下に抜けると、そのまま下降をし始める可能性が高まります。

この特徴を利用して、「買い」エントリーのタイミング、「売り」エントリーのタイミングを決める手法になります。この手法は、FXなどではとてもポピュラーな手法で、プロや上級者でもこの手法を意識してトレードに取り組んでいます。

また、損切りラインは図のように「ゴールデンクロス・デッドクロスが発生した場所の直近の高値(買いであれば安値)」付近よりも少し離れた場所に線を引くのが一般的です。

つまり、「ゴールデンクロスでエントリー、デッドクロスで決済」「ゴールデンクロスの直近安値で損切り」のような計画でトレードを行うとよいと言えます。

相場の中で、このゴールデンクロスとデッドクロスを意識してみて下さい。

パーフェクトオーダーを利用する

パーフェクトオーダーとは、「期間の異なる複数の移動平均線が、順序良くすべて同じ方向へ向かっている状態」のことをパーフェクトオーダーと言います。

上のチャートでは、短期・中期・長期、3本の移動平均線を表示していますが、それぞれが右肩上がりの状態で、上から順に短期、中期、長期の順に並んでいます。これがパーフェクトオーダーという状態です。

これはどういう状態かというと、短期、中期、長期の線が、急激にではなくしっかりと同じ方向を向き始めた時、相場のトレンドは明確なトレンドを示しています。つまり、しっかりとした強い上昇のトレンドが出ており、しかも長く続く傾向を表しています。こういった本物のトレンドが出た時は、「順張りエントリーのチャンス」と言えます。

また、パーフェクトオーダーは、強いトレンドと判断されるため、そのトレンドは継続する可能性が高くなります。そのため、エントリー後の損切りラインも、上図のような上昇トレンドの場合であれば、直近安値を引いた斜めの線が、損切りラインまたは利確ラインとして意識されます。

しかし、パーフェクトオーダー中に「上昇トレンドの直近安値を切る」、または「デッドクロスが発生した」場合は注意が必要です。ここで損切り、または利益確定の決済を考えることもひとつの考えだと思います。

チャートパターンとの併用

FXでは、「ダブルトップ」や「ダブルボトム」「ヘッドアンドショルダー」など、「チャートパターン」と呼ばれる、シグナルのようなパターンがあります。このチャートパターンが現れた場合の移動平均線の動きを組み合わせてることで、さらに勝率が上がることが分かっています。

例えば、上図のようにそれぞれ「ダブルボトム」「ダブルトップ」が出現していますが、ダブルボトムが出現しても、移動平均線がゴールデンクロスを形成するまで待つ、というテクニックがあります。

ダブルボトムが出現したとしても、ゴールデンクロスが形成されないまま、ダブルボトムが崩れ、チャートが下落してしまうことがあります。

つまり、チャートパターンの信頼性を計るために、移動平均線の動きを十分見極めてからエントリーをすることで、確実性のあるトレードが可能になります。

移動平均線を使って、このようなトレンドを見抜くことができ、トレードで活用できるのです。

まとめ

いかがだったでしょうか?

移動平均線をしっかりと理解するだけで、とても使える手法がいくつもありました。相場の動きは誰にも正確な予測はできません。しかし、こういったインジケーターをチャートに乗せ、相場の動きを予想することで、あなたの勝率は大きく変わってくることは間違いありません。

それから移動平均線の設定をいろいろと試して、自分なりの設定を見つけることもできますし、他のインジケーターを組み合わせてみて、うまく使いこなすことで、さらに勝率を上げることができます。是非、この機会に移動平均線について理解を深め、実際のトレードでその実力を発揮しましょう!

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