【週報】2026年8月29日号:ジャクソンホール通過もドル円160円台もみ合い、ビットコインは22%急伸
この記事を読むとこうなります
→ 今週のドル円・ユーロドル・ポンド円・ゴールド・ビットコインのトレンドが週足・日足・4時間足で一目で分かります
→ 今週の値動きを動かした主要材料が分かります
→ 来週の相場シナリオ(メイン・サブ)と注目の経済指標が分かります
⚠️ 本レポートは執筆時点の相場情報です。相場は経済指標の結果・要人発言・地政学リスクなどによって方向性が急変することがあり、記載のトレンドや見通しは将来の値動きを保証するものではありません。取引は必ずご自身の判断と責任で行ってください。
今週のトレンド一覧
移動平均線の並び(パーフェクトオーダーなど)とダウ理論による高値・安値の切り上げ/切り下げ判定をもとにした、主要5資産の週足・日足・4時間足トレンド状況です(2026年8月29日時点)。
| 資産 | 時間軸 | 価格 | 移動平均トレンド | ダウ理論 |
|---|---|---|---|---|
| USD/JPY | 週足 | 160.067 | 上昇トレンド(パーフェクトオーダー) | 収束(保ち合いの可能性) |
| 日足 | 160.067 | レンジ | 上昇トレンド継続 | |
| 4時間足 | 160.067 | 上昇バイアス | 上昇トレンド継続 | |
| EUR/USD | 週足 | 1.15813 | レンジ | 下降トレンド継続 |
| 日足 | 1.15813 | レンジ | 上昇トレンド継続 | |
| 4時間足 | 1.15813 | 下降バイアス | 下降トレンド継続 | |
| GBP/JPY | 週足 | 216.629 | 上昇トレンド(パーフェクトオーダー) | 下降トレンド継続 |
| 日足 | 216.629 | 上昇バイアス | 拡大レンジ | |
| 4時間足 | 216.629 | レンジ | 収束(保ち合いの可能性) | |
| GOLD (XAU/USD) | 週足 | 4455.07 | 上昇バイアス | 下降トレンド継続 |
| 日足 | 4455.07 | 上昇バイアス | 上昇トレンド継続 | |
| 4時間足 | 4455.07 | 下降バイアス | 下降トレンド継続 | |
| BTC/USD | 週足 | 77608.1 | レンジ | 下降トレンド継続 |
| 日足 | 77608.1 | 上昇バイアス | 上昇トレンド継続 | |
| 4時間足 | 77608.1 | 下降バイアス | 拡大レンジ |
ドル円は週足で移動平均線が上向きに並ぶ「パーフェクトオーダー」を形成しつつも、ダウ理論の判定は週足で「収束(保ち合いの可能性)」となっており、高値圏でのもみ合いを示唆しています。日足・4時間足では上昇トレンドの継続が確認でき、短期的な底堅さは崩れていません。ポンド円も週足は上昇のパーフェクトオーダーですが、週足のダウ理論は「下降トレンド継続」と逆方向を示しており、時間軸によって見方が割れている典型例といえます(ダウ理論の基本的な考え方はこちらの解説記事で詳しく紹介しています)。ゴールドは週足・日足で上昇バイアスを保ちつつ4時間足だけ下降バイアスに転じており、後述する高値圏からの一服が短期足に表れた格好です。ユーロドルは週足のレンジから日足・4時間足にかけて下降色を強めており、5資産のなかでもっとも軟調な値動きとなりました。ビットコインは週足でレンジにとどまる一方、日足・4時間足では上昇バイアスとなっており、今週の急伸を反映しています。
他の代表的な指標に照らしても、ゴールドやユーロドル、ポンド円は中長期の時間軸で買い(または売り)が優勢な一方、直近の4時間足だけ逆方向のシグナルが出ており、短期と中期で評価が割れている状態です。対してビットコインは週足から4時間足まで一貫して買い優勢のシグナルが並んでおり、上昇の勢いが数値面でも裏付けられています。ドル円は全時間軸でおおむね評価が揃っており、方向感自体は崩れていないと見てよさそうです。
※価格はMT5(XS Fintech)のデータに基づき、日足はUTC基準で区切っています。TradingView等の他チャートとは表示タイムゾーンや参照取引所が異なるため、数値が多少異なる場合があります。
主要中銀の政策金利と金利差
米連邦準備制度理事会(FRB)は3月・4月・6月・7月と4会合連続で政策金利を3.75%に据え置きました。次回9月16日会合に向けた市場予想はまだ示されていません。ジャクソンホールでのウォーシュ議長講演でも具体的な政策方針への言及は避けられており、9月会合が据え置きか追加利上げかを巡る綱引きはなお続きそうです。
一方、日銀は6月会合で政策金利を0.75%から1.00%へ引き上げ、7月は据え置きとしました。次回9月18日会合については、市場では1.25%への追加利上げが織り込まれています。ECBも6月に2.15%から2.40%へ利上げに動いたのち7月は据え置き。次回9月10日会合の市場予想はまだ示されていません。英中銀(BOE)は3月以降4会合連続で3.75%を維持しており、次回9月17日会合の市場予想も現時点では示されていません。
金利差の面では、ドル円・ポンド円ともに日銀の6月利上げを受けて金利差が縮小傾向にあります(ドル円2.75%pt、ポンド円2.75%pt)。ユーロドルの金利差もECBの利上げにより縮小傾向(-1.35%pt)です。ただし金利差の縮小が直ちに円買い・ユーロ買いには直結しておらず、実際の値動きを見る限りドル円は160円台での底堅さを保っています。金利差以外の要因、たとえば地政学リスクやリスク選好度の変化が、短期的な値動きをより強く左右している面もうかがえます。
ドル円・ビットコインを動かしている材料
ドル円は今週、159円台後半から160円台前半のレンジで推移し、週末にかけて5日続伸、160円台前半で取引を終えました。相場の焦点は8月28日、ケビン・ウォーシュFRB議長がジャクソンホール経済政策シンポジウムで行った就任後初の基調講演です。同議長は金融政策の先行き指針(フォワードガイダンス)には踏み込まず、市場が注視していた「追加利上げに動く用意があるか」という論点への明言も避けました。それでも根強いインフレへの警戒感から利上げ観測がくすぶり、米国株が下落する一方で米国債利回りは上昇。ドル買い優勢の地合いが続いています。
一方で、7月にドル円を164円近辺まで押し上げた中東情勢の緊迫化については、8月下旬にかけてやや落ち着きを取り戻しつつあります。米国が主要公館への外交官の帰任を検討するなど、対イラン姿勢が軍事的な圧力から経済制裁を軸にした対応へとシフトする兆しがあり、原油価格の上昇圧力も一服。「有事のドル買い」の勢いがやや後退したことも、ドル円が160円台でのもみ合いにとどまっている一因とみられます。
ビットコインは対照的に勢いのある展開となりました。8月19日に米財務省が長期国債の買い戻し上限引き上げを発表し債券市場への流動性支援期待が広がったことをきっかけに反発が加速。8月27〜28日には一時81,491ドル付近まで駆け上がり、8月18日の安値(64,015ドル)から一時30%近い上昇となりましたが、週末にかけては上昇分の一部を吐き出す形で反落し、77,000ドル台後半で一週間を終えています。それでも2週間前の水準と比べれば底堅さを維持した格好です。現物ETFへの資金流入も8月だけで30億ドルを突破し、年初来で最も強い月になるなど、需給面での支えは強まっています。値動きの大きい局面では入出金のタイミングにも注意が必要になるため、仮想通貨入出金ガイドもあわせてご確認ください。
ゴールドは3カ月ぶりの高値圏から一服し、米インフレ指標の発表を控えて様子見ムードが強まっています。ドル高地合いが上値の重しとなっている面もあり、方向感を探る展開が続きそうです。
今週の主要経済指標
- ジャクソンホール経済政策シンポジウム(8/28):ウォーシュFRB議長が就任後初の基調講演、具体的な政策方針への言及は回避
- 米財務省による長期国債の買い戻し上限引き上げ発表(8/19):債券市場の流動性支援期待からリスク選好が強まる
- 中東情勢:米国が対イラン姿勢を軍事的圧力から経済制裁中心へシフトする動きがみられ、地政学リスクはやや後退
- ビットコイン現物ETF:8月の資金流入額が30億ドルを突破し、年初来で最も強い月に
来週のシナリオ
メインシナリオ:来週(9月1日〜9月5日)は、ジャクソンホールで方向感が示されなかった分、実体経済指標の結果がFRBの9月16日会合を占ううえでより重要な材料になります。9月1日には米ISM製造業景況指数(予想55.3、前回55.6)とJOLTs求人件数(予想739万件、前回735.9万件)、9月4日には米雇用統計(非農業部門雇用者数は予想4.5万人、前回はマイナス2.3万人からの反動が焦点)と失業率(予想4.2%、前回4.1%)が発表されます。前回大きく落ち込んだ雇用者数がどの程度戻すかによって、追加利上げ観測の強弱が左右されそうです。ユーロ圏では9月1日に消費者物価指数速報値(予想3.2%、前回2.9%)が発表され、9月10日のECB会合を前にインフレの根強さが意識されるかが焦点。中国の製造業PMI(8月31日発表予定、予想49.7、前回49.2)も、グローバルなリスク選好やビットコインなどリスク資産の地合いを占ううえで注目されます。
サブシナリオ:中東情勢の緩和ムードが崩れて再び緊迫化するようであれば、「有事のドル買い」が復活しドル円が上値を試す展開に転じる可能性があります。逆に米雇用統計が予想を大きく下振れれば、利上げ観測が後退してドル全面安となり、ゴールドやビットコインといったリスク資産には追い風になる可能性も想定しておきたいところです。
まとめ
- ジャクソンホールでのウォーシュ議長講演は明確な方向性を示さず、ドル円は159円台後半〜160円台前半でのレンジ推移にとどまった
- 中東情勢はやや沈静化し、地政学リスクを背景にしたドル買いの勢いは一服
- ビットコインは米財務省の流動性支援策とETF資金流入を背景に一時81,491ドルまで急伸したが、週末にかけて反落し77,000ドル台後半で着地
- 来週は中国PMI・ユーロ圏インフレ速報・米ISM・米雇用統計と重要指標が目白押し、なかでも9/4の米雇用統計は9/16のFOMCを占ううえで最大の焦点
このレポートを踏まえてトレードを始めたい方へ
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