【週報】2026年8月8日号:日米協調介入でドル円が乱高下した一週間
この記事を読むとこうなります
→ 今週のドル円・ユーロドル・ポンド円・ゴールド・ビットコインのトレンドが週足・日足・4時間足で一目で分かります
→ 15年ぶりとなる日米協調介入が相場をどう動かしたかが分かります
→ 来週の相場シナリオ(メイン・サブ)と注目の経済指標が分かります
⚠️ 本レポートは執筆時点の相場情報です。相場は経済指標の結果・要人発言・地政学リスクなどによって方向性が急変することがあり、記載のトレンドや見通しは将来の値動きを保証するものではありません。取引は必ずご自身の判断と責任で行ってください。
今週のトレンド一覧
移動平均線の並び(パーフェクトオーダーなど)とダウ理論による高値・安値の切り上げ/切り下げ判定をもとにした、主要5資産の週足・日足・4時間足トレンド状況です(2026年8月8日時点)。
| 資産 | 時間軸 | 価格 | 移動平均トレンド | ダウ理論 |
|---|---|---|---|---|
| USD/JPY | 週足 | 157.763 | レンジ | 上昇トレンド継続 |
| 日足 | 157.763 | 下降バイアス | 下降トレンド継続 | |
| 4時間足 | 157.763 | 下降トレンド(パーフェクトオーダー) | 収束(保ち合いの可能性) | |
| EUR/USD | 週足 | 1.156 | 下降バイアス | 下降トレンド継続 |
| 日足 | 1.156 | 上昇バイアス | 拡大レンジ | |
| 4時間足 | 1.156 | 上昇トレンド(パーフェクトオーダー) | 上昇トレンド継続 | |
| GBP/JPY | 週足 | 212.867 | レンジ | 拡大レンジ |
| 日足 | 212.867 | 下降バイアス | 下降トレンド継続 | |
| 4時間足 | 212.867 | レンジ | 収束(保ち合いの可能性) | |
| GOLD (XAU/USD) | 週足 | 4341.44 | 下降バイアス | 下降トレンド継続 |
| 日足 | 4341.44 | 上昇バイアス | 上昇トレンド継続 | |
| 4時間足 | 4341.44 | 上昇トレンド(パーフェクトオーダー) | 上昇トレンド継続 | |
| BTC/USD | 週足 | 64999.29 | 下降バイアス | 下降トレンド継続 |
| 日足 | 64999.29 | 上昇バイアス | 下降トレンド継続 | |
| 4時間足 | 64999.29 | 上昇バイアス | 上昇トレンド継続 |
ドル円は週足こそ「レンジ」判定ながらダウ理論では上昇トレンド継続とされており、日足・4時間足では下降バイアス・下降のパーフェクトオーダーが出ています。これは、大きな上昇の枠組み自体はまだ崩れていないものの、直近では急な調整安が入ったことを示す形です。ポンド円も同様に、週足はレンジ〜拡大レンジ、日足は下降バイアスと、円全体の巻き戻しに引きずられた値動きが読み取れます。対照的にユーロドルとゴールドは日足・4時間足で上昇のパーフェクトオーダーとなっており、ドルが売られやすい地合いが共通しています。ビットコインは日足が下降トレンド継続、4時間足は上昇トレンド継続と時間軸によって判定が割れており、方向感を欠く展開だったことがうかがえます。
ドル円・ポンド円を動かした「日米協調介入」
今週最大の材料は、7月31日に実施された日米協調による円買い介入です。全体としての協調介入は2011年の東日本大震災直後以来15年ぶり、円買い方向に限れば1998年のアジア通貨危機時以来28年ぶりという、極めて異例の対応でした。背景には、7月23日に一時163.988円と約40年ぶりの円安水準まで進んだドル円があります。介入発表を受けて相場は大きく動き、8月3日の東京市場では一時155.218円まで急落する場面もありました。週を通してみると157円台後半まで値を戻していますが、日本の財務省が「今後、更なる協調介入を実施することも躊躇しない」とコメントしていることもあり、上値では警戒感が根強く残っています。
ポンド円も、ドル円と同じく円が主要通貨に対して買い戻される流れに巻き込まれる形で上値の重い展開となりました。個別の英国材料というよりは、介入をきっかけにした円全体の巻き戻しがポンド円の下押し要因になったとみられます。
ユーロドルは1.156台まで値を上げました。ドル円と同様に、介入後のドル全体の軟化が背景にありますが、今回はもう一点、注目すべき指摘が出ています。今回の介入では円買いの原資としてユーロ売りが用いられたとみられ、欧州の政策当局者への事前の通告なしに米国が対応した可能性があるとの見方が、米大手資産運用会社から示されました。為替介入という一国の措置が、当事国以外の通貨(ユーロ)にまで波及し、かつ国際的な協調の弱まりを示す事例として受け止められている点は、今回の値動きの特徴的な部分といえます。
ゴールドは4,341ドル台と高値圏での推移が続きました。中東情勢の緊張が根強く残るなか、質への逃避需要に加えて、各国の財政悪化懸念や中央銀行・機関投資家による資産分散ニーズといった構造的な買いも支えになっています。ビットコインは65,000ドル近辺で方向感の乏しい展開となり、明確な材料が乏しいなかで日足・4時間足の判定が分かれる値固めの範囲にとどまりました。
今週の主要経済指標
- 7月31日:日米協調円買い介入を実施。財務省は「更なる協調介入も躊躇しない」とコメントし、ドル円は一時155円台まで急落
- 8月7日:米7月雇用統計を発表。来週のFOMCを巡る利上げ・据え置き観測を左右する重要指標として市場が注目
- 中東情勢(イラン関連)の緊張継続:地政学リスクの高まりが「有事のドル買い」とゴールドへの逃避買いの綱引き材料に
- 介入を巡る欧米当局者の発言:協調の是非やユーロへの波及を指摘するコメントが相次ぎ、市場の思惑を刺激
来週のシナリオ
メインシナリオ:来週(8月10日〜14日)は、8月12日に発表される米7月消費者物価指数(CPI)が最大の焦点です。9月15〜16日のFOMCでの政策変更確率は8月5日時点で拮抗しており、CPIの結果次第で織り込みが上下に振れやすい状況です。ドル円は、介入後の急落から一定の戻りを試す動きが出る可能性がある一方、財務省による追加介入への警戒感が上値を抑えるとみられ、155円台後半〜158円台を軸としたレンジ推移を想定します。中国の7月消費者物価指数・生産者物価指数など、他地域の指標発表も相場の背景材料として意識されそうです。
サブシナリオ:中東情勢がさらに悪化すれば、「有事のドル買い」が再燃してドル円が158円台を超えて戻す展開や、ゴールドが最高値圏を再び試す展開もあり得ます。逆に米CPIが市場予想を下振れて利上げ観測が後退すれば、ドル安が加速して円買い介入後の安値(155円台)を試す展開に発展する可能性も想定しておきたいところです。ユーロドルについては、協調の弱まりを指摘する声が広がるようであれば、材料の不透明感からやや振れ幅の大きい展開になることも考えられます。
まとめ
- 7月31日の日米協調円買い介入(円買い方向では28年ぶり)が今週最大の材料で、ドル円は一時155.218円まで急落後、157円台後半まで戻して週を終えた
- ドル円・ポンド円は円全体の巻き戻しで上値が重く、対照的にユーロドル・ゴールドは日足・4時間足で上昇のパーフェクトオーダーを形成
- 今回の介入はユーロ売りを伴い、欧州当局への事前通告なしに実施された可能性が指摘され、国際協調の弱まりを示す事例として注目された
- 来週は8月12日の米CPIが最大の焦点。財務省の追加介入警戒とあわせ、ドル円は155円台後半〜158円台のレンジ推移を軸に想定
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