メタトレーダー5:MT4との違いや機能、メリットなどについて解説します
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FX(為替証拠金取引)をするには、分析機能を備えたチャートが必須です。そして取引に沼り、トレードを勉強していくうちにテクニカル分析を学び、高機能チャートが欲しくなります。国内FX会社でも独自チャートを提供していますし、最近では高機能のものも増えているようです。が、世界で使用者数がダントツに多いのはMetaTrader(MT)4であり、今回紹介するMT5の先発チャートです。
5年を月日を経て開発されたMT5は、よりカスタム色が強くなっていて、自分が使いやすいようにデザインできるのがとても魅力です。開発・提供元のMetaQuotes Software社ではMT5に力を注いでおり、既にMT4のアップデートは終了しています。MT4については別記事で解説していますのでご参照ください。これからメインになっていくであろうMT5について、ここでは詳しく解説します。
MetaTrader5とは
2010年にMT4の次世代プラットフォームとして発表・提供されました。MetaTraderは「FX専用」と謳っていますが、複数の金融商品を扱っています。MT4では仮想通貨に対応していないのですが、MT5では先物や債券など扱う商品が増えた中に、仮想通貨があります。扱える内容については、取引する業者によるので確認が必要です。
上記したようにMT5ではカスタマイズに力を入れていますが、操作自体はMT4と同様、難しいことはありません。シンプルさが前に押し出されているので、はじめは戸惑うかもしれませんが、操作性はより軽くなったといえるでしょう。国内ではMT4を提供しているFX会社は多くなりましたが、MT5を扱っている会社はまだ少ないため事前に確認しておく必要があります。
そして、Macintosh使用者から大変不評だったダウンロード版もMT5では解決されて、OSを選ぶことができて手間がかからなくなりました。また今まで同様、アプリを使用することでスマホでもタブレットでもデバイスを選びません。
MT5の機能
MT5では分析ツールが更に増加していますが、目立つのは時間軸が9種類から21種類に大幅に増えたことです。分足・時間足はMTF分析にも役立ちます。日本時間・欧州時間・米時間の動きを見比べるなら4時間足で考える必要はなく、8時間足3本を見れば一目で把握できるのです。
MT4と考え方は同じですが、画面上にあるバーで自分が使いやすいように画面をカスタマイズしていきます。時間足を増やすならバーの時間足の上で右クリック、または表示(V)の「時間足設定」から選択します。「表示」の中には通貨ペアを選択する「通貨ペアリスト」「気配値」や取引内容を確認する「ターミナル」があります。またインジケータなどは挿入から選択します。また、ツールバー自体をカスタマイズできるので必要なものを表示しておきましょう。
標準搭載されているインジケータについては、若干増加しているものの、MT4で充分網羅されていたので目新しさはないかと思われます。
MT4との違い
上記しましたが、MT5では時間軸が多くなり、ローソク足の切り替え時間がMT4とは異なります。相場では始値・終値は大事なポイントです。カスタムで次のローソク足までの時間を表示するものがありますので入手しておくことをおすすめします。
チャートの選択は取引を重ねていると悩む時がきますし、比べたくなるものです。こればかりはご自身のトレード手法に合ったチャートを使用することがイチバンで、「主流といわれるから」とか「勧められたから」といって決めるものではないです。もちろん使ってみないとわからない、ということはあります。MT5はまだ歴史が新しく、インジケータによっては長期のデータが見られないものがあります。そのため、まだ引き続きMT4を使用するトレーダーもとても多いのです。
MT5の優れている点
- アップデートの継続
- 分析ツール増加(インジケータなど)
- WEBチャートが使用できる
- 他トレーダーのコピートレードなどを購入することができる
まず、あげられるのはアップデートが今後も続いていくということです。随時、情報が更新されている状態で使用することができます。MT4ではアップデートが終了したため、必要であればMT5をおすすめします。
分析ツールでは、テクニカル分析の他にファンダメンタルズ分析があります。経済指標や生産的な指標を追求していくものですが、残念ながらメタトレーダの場合は日本語に対応していません。MT4でも言われていたことですが外国語が苦手な人には無用の産物ではあります。
MT5ではダウンロード版だけではなく、WEBチャートが採用されています。ダウンロードの必要がなく、デバイスの容量に左右されません。ダウンロード版は、MT4ではWindows対応のみでしたが、MT5では改良されて、Macintoshでも簡単にダウンロードできるようになりました。
MT5:スマホの使い方
MT4より扱える事柄が増えているようです。通貨ペアの整理などはMT4に比べて使いやすくなりました。4本値表示は通常左上に固定され、文字が小さく見づらかったのが、十字ポインタを使用すると、前面に表示されて見やすいです。インジケータは変わらず上バー中央の「f」にあります。
チャート画面の設定などは右下の「設定」内に情報があるので、必要に応じて使うものを選択しましょう。いちいち左上から選択する必要がないのは手間が省けて便利です。他の情報については左上のバーの中で選択する必要があります。
忘れずに設定したいのは「買い気配値」の設定です。MT4でも同じなのですが、はじめはBitラインのみの表示なので、Askラインも表示させましょう。「設定」➡「チャート」「買い気配値ライン」をオンにします。スプレッドの開きなどを見る時に必要になります。
MT5のメリット・デメリット
メリット
- 動作が早い
- 時間軸が豊富
- 仮想通貨チャートを見られる
- 無料で使用できる
同じ通信環境下でも動作速度があがったようです。スキャルピングトレードを主にされているトレーダーには嬉しい改善になるでしょう。また、MT4と比べると、画面が全体的にクッキリ見やすくなった印象があります。
他記事で紹介した人気チャートであるTradingViewは、無料会員と有料会員があり、無料会員ではかなりの制限がありました。どこに重点をおくか、になりますが、全てを無料で使用できるというのは、やはり嬉しいサービスといえます。
デメリット
MT4とはプログラム言語が違うため、カスタムで導入した使い勝手がいいインンジケータもMT5では見直す必要があります。長年MT4で取引をしてきたトレーダーがなかなかMT5への移行ができない理由になっています。
下にも記載しますが、カスタム搭載できるインジケータや自動売買について、まだ少ない印象です。MT4が充実していたので見劣りするところですね。
MT5は新しいこれからのチャートではありますが、国内では扱っているFX会社の数が少ないことは否めません。扱いやすい、難いというのは個人的な技量もありなんともいえない部分です。上記しましたが、ご自身のトレード手法に合っているかが問題になります。
新しいツールを使い始める際は何でも、使い勝手が悪く感じるものです。慣れてしまえば気にならなくなる部分もあります。
MT5:カスタムインジケータとEA(自動売買)
MT4、MT5にはプログラミング機能があり、世界中のトレーダーによるさまざまなサインツールやカスタムインジケータ、自動売買が販売されてきました。感心できるものも、そうではないものも数多く、購入者の立場でも使ってみる楽しさを感じることができます。
歴史が長いMT4に比べると、MT5用はまだ少ないのですが、これから増え続けるものと想像できます。EAは標準搭載もされていますが、やはりカスタムEAが人気です。長くトレードをしていると満足できるEAが見つけられない場合もあります。バックテスト機能を使いながらプログラミングに挑戦して、ご自身で制作してみるのもおすすめです。
MT5:よくある質問
システムについての質問
①使っているPCで実行できない:64bitオペレーティングシステムのPCが必要です。32bit版は対応していません。PCのシステム種類を確認しましょう。
②ヒストリカルデータの取得:できません。
③全通貨ペアを表示する方法:気配値表示の枠で右クリックすると、「すべて表示(S)」があります。また、不要な通貨ペアは右クリックで「非表示」を選びます。
④1週間の日足本数:5本です。
EAについての質問
①MT5を閉じてもEAは動き続けるか:EAはMT5を起動している状態で動作しています。よって電源が落ちるとEAもストップします。急な停電などの対応策として自家発電を使用するトレーダーもいるようですが、VPSをすることをお勧めします。
付随しますが、Windowsでの自動アップデートが行われる設定で自動再起動にしても、MT5は自動起動ができません。
②使用できる拡張子:ex5
③うまく起動しない:ツールバー上のアルゴリズム取引の「赤■」を「青▶」にします。チャート右上のマークがグレーの場合は設定に問題があります。マークが青でも動かない場合は販売元に連絡しましょう。
MT4という沼からの脱出:まとめ
正直、MT5の評判は良し悪しが分かれています。やはり今までMT4に慣れきってしまっているトレーダーにとっては「今更変えられん」とか「まだ変えなくても大丈夫」という想いもありますし、筆者のようにトレード手法に合わなくて移行できないというトレーダーも多く存在するわけです。
しかし、参入したばかりの初心者は新しいものにどんどん慣れて、試行錯誤しながらでも、とにかく自分のトレードを確立していくことが大事になります。そして、自分のトレードに自信がもてないなら、TradingViewのようにコミュニケーションをとることはできませんが、他のトレーダーのコピートレードを採用しながら勉強をすすめるのもアリです。これからまた開発がすすんで使えるFX会社も多くなり、情報も増えていくMT5に期待です。