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【月報】2026年10月号:米利上げでドル高・金急落、ビットコインだけが逆行高した9月

9月は「金利」がすべての主役でした。米国の利上げと長期金利の急上昇を受けてドルが買われ、ユーロドルは-2.43%、ゴールドは-6.54%と大きく下落。一方で、ドル円は160円台から152円台まで一時急落したあと157円台へ戻し、ビットコインは逆風の中で+6.1%と上昇して月を終えました。中東情勢が緊迫しても金が買われなかった理由を含め、9月の相場をありのままに振り返ります。

⚠️ 本レポートは執筆時点の相場情報です。相場は経済指標の結果・要人発言・地政学リスクなどによって方向性が急変することがあり、記載のトレンドや見通しは将来の値動きを保証するものではありません。取引は必ずご自身の判断と責任で行ってください。

2026年9月の振り返り

銘柄始値高値安値終値騰落率
USD/JPY159.695160.388152.884157.364-1.46%
EUR/USD1.161001.165361.131121.13282-2.43%
GBP/JPY216.400216.828206.883208.782-3.52%
GOLD (XAU/USD)4,447.764,510.824,110.824,156.98-6.54%
BTC/USD78,826.9887,382.4674,954.3283,637.69+6.10%

※価格はMT5(XS Fintech)のデータに基づき、日足はUTC基準で区切っています。TradingView等の他チャートとは表示タイムゾーンや参照取引所が異なるため、数値が多少異なる場合があります。

9月は5銘柄のうち4銘柄が下落し、上昇したのはビットコインだけという結果になりました。最も大きく動いたのはゴールドで、月間の値幅は高値4,510.82ドルから安値4,110.82ドルまでの約400ドル。月末も安値圏の4,156.98ドルで引けており、売り圧力が最後まで続いた形です。

為替では、ユーロドルが1.16台から1.13台前半まで水準を切り下げ、ほぼ月間安値に近い1.13282で終了。ポンド円も216円台から208円台へと8円近く下げています。ドル円は月初に160円台をつけたあと152.884円まで急落し、その後は157円台まで戻すという、往復で7円を超える荒い値動きでした。

まとめると、9月の相場は「ドル高・金安・円は乱高下・ビットコインは独自の動き」という構図です。その中心にあったのが、米国の利上げと長期金利の急上昇でした。

月足・週足の中期トレンド構造

銘柄現在値月足週足
USD/JPY158.131上昇トレンド継続下降トレンド継続
EUR/USD1.13178下降トレンド継続下降トレンド継続
GBP/JPY209.739上昇トレンド継続下降トレンド継続
GOLD (XAU/USD)4,182.06下降トレンド継続上昇トレンド継続
BTC/USD84,100.24拡大レンジ上昇トレンド継続

※価格はMT5データに基づくため、他チャートとは多少異なる場合があります。

月足と週足の判定がそろっているのはユーロドルだけで、どちらも下降トレンド継続です。テクニカル面でも月足・週足ともに総合評価は「売り」となっており、見方がきれいに揃っています。9月の下落は一時的な押しというより、中期的な下降の流れの中で起きた動きと読むのが自然です。

ドル円とポンド円は、9月の騰落率がマイナスでも月足は上昇トレンド継続のままです。長い時間軸で見れば円安方向の大きな流れはまだ崩れておらず、週足レベルで調整の下げが入っている、という構図になります。他の代表的な指標でも、ドル円は月足・週足とも総合評価が「買い」、ポンド円は月足が「買い」で週足が「中立」と、長期ほど強気寄りです。ただしドル円の週足はオシレーター系が「売り」に傾いており、短めの時間軸では勢いが落ちていることも読み取れます。

判断が難しいのはゴールドです。今回の判定では月足が下降トレンド継続、週足が上昇トレンド継続と、時間軸によって評価が割れています。さらに別の指標で見ると、月足の総合評価は「買い」、週足は「売り」と、こちらも逆の組み合わせです。月足は移動平均系が「強い買い」のままで、長期の上昇で積み上がった水準の高さがまだ数字に残っている一方、足元の値動きは崩れ始めている、という過渡期の姿と言えます。このように時間軸ごとに結論が食い違うときは、どの時間軸でトレードするのかを先に決めておくことが大切です。複数の時間軸を組み合わせて見る考え方はマルチタイムフレーム分析の解説記事で詳しく紹介しています。

ビットコインは月足が拡大レンジ、週足が上昇トレンド継続です。9月は+6.1%と上昇したものの、月足ではまだ上下に値幅を広げながらもみ合っている段階で、明確な上昇トレンドと呼べる形にはなっていません。週足の総合評価は「買い」で、短中期の地合いは改善しています。

ゴールドはなぜ中東情勢の緊迫下でも急落したのか

9月最大の動きはゴールドの-6.54%です。米国とイランの対立が長引き、ホルムズ海峡をめぐる緊張から原油価格が高止まりする中での下落でした。「有事の金買い」という言葉をご存じの方ほど、違和感を覚えたのではないでしょうか。

カギになったのは金利です。米連邦準備制度理事会(FRB)は9月の会合で政策金利を0.25%引き上げ、誘導目標を3.75〜4.00%としました。利下げではなく利上げに踏み切ったうえ、追加利上げの可能性も意識され、米10年債利回りは月末にかけて5%台まで上昇しています。物価の影響を差し引いた実質金利も大きく上がりました。

ゴールドは持っていても利息を生まない資産です。国債を買えば5%以上の利回りが得られる環境では、「あえて金を持つ理由」が相対的に弱くなります。加えてドル高が進んだことで、ドル建てで取引される金はドル以外の通貨を持つ投資家にとって割高になり、需要の重しになりました。

ここで押さえておきたいのは、地政学リスクが「金の追い風」と「金の向かい風」の両方に働きうるという点です。中東の緊張は安全資産としての需要を呼ぶ一方で、原油高を通じてインフレ懸念を強め、それが利上げ観測と金利上昇につながります。9月は後者の力が前者を上回った月でした。「有事=金高」という単純な図式で見ていると、こうした局面で判断を誤りやすくなります。実質金利やドル指数と金の関係については金トレードの基本をまとめた記事で整理しています。

ドル円は「日銀の利上げ観測」と「円安けん制」で急落と反発

ドル円は月初に160.388円をつけたものの、日銀の利上げ観測や日米当局による円安是正への思惑が強まり、投機筋の円売りポジションの巻き戻しも重なって、9月8日には152.884円まで急落しました。ただ、その後は159円台まで反発し、下旬には160円が再び視野に入る場面もありました。

9月18日には日銀が政策金利を1.0%から1.25%へ引き上げました(賛成7・反対2)。月末にかけては、片山財務相が日米首脳会談でトランプ大統領が円安への懸念を示したことを明らかにし、高市首相も円の過小評価は問題だとの認識を示しました。ベッセント米財務長官も片山財務相との電話会談で、強い円が望ましいと述べています。日米双方から円安を問題視する声が出たことで、円安の勢いが抑えられ、月末は157.364円で取引を終えています。

ユーロとポンドは利上げでもドル高に押された

欧州中央銀行(ECB)も9月10日に利上げを行い、中銀預金金利を2.50%としています。それでもユーロドルが下げたのは、FRBの利上げ幅と今後の追加利上げ観測のほうが強く意識され、ドルの金利面での優位が保たれたためです。ユーロドルは月末にかけて1.131台まで下げ、月間安値圏で引けました。

英中銀(BOE)は9月の会合で政策金利を3.75%に据え置きましたが、9人中3人が利上げを主張するという割れた結果でした。ポンド円の-3.52%は、ポンド自体の弱さに加え、下旬の円買い戻しが重なったことで下げ幅が広がった面があります。

ビットコインは規制面の逆風を跳ね返して上昇

ビットコインにとって9月は逆風の多い月でした。米上院で暗号資産の市場構造を定める法案(クラリティ法案)が審議入りに必要な票を集められず、成立の見通しが大きく後退。FRBの利上げも重なり、月間安値は74,954.32ドルまで下げています。

それでも下値は限定的で、その後は87,382.46ドルまで切り返しました。法案の否決はある程度織り込み済みだったとの見方もあり、下げた場面では押し目買いが入ったほか、月末に発表された米8月のPCE物価指数が予想より穏やかで、10月の追加利上げ観測がやや後退したことも支えになりました。金利上昇局面で金と逆の動きになった点は、9月の特徴の一つです。

経済指標と値動きの関係

9月の値動きは、個別の経済指標の数字そのものよりも、「指標を受けて利上げ観測がどう変わったか」に強く反応した月でした。米国の景気や雇用が底堅いことを示す結果が出るたびに追加利上げが意識され、長期金利の上昇→ドル買い→金売り、という流れが繰り返されています。

その流れに変化の兆しが出たのが月末です。米8月のPCE物価指数が予想より穏やかだったことで、利上げ観測がやや後退し、ドルの上昇にいったんブレーキがかかりました。ユーロドルやドル円が月末に下げ止まり、ビットコインが底堅さを見せたのは、こうした指標をきっかけにした金利見通しの修正が背景にあります。

もう一つ見逃せないのが原油です。中東情勢をめぐる報道で原油価格が上下するたびに、インフレ見通しが揺れ、各国中銀の利上げ姿勢に対する思惑も変化しました。物価指標を読むときは、その数字だけでなく、背後にあるエネルギー価格の動きもあわせて確認しておくと、相場の反応を理解しやすくなります。

今月の注目ポイント

10月は月末に日米欧の金融政策イベントが集中します。9月に続いて「金利」が相場の主役になる可能性が高く、主要な日程は次のとおりです(日時は日本時間)。

日時国・地域イベント予想前回
10/1(木) 23:00米国ISM製造業景況指数55.054.6
10/2(金) 18:00ユーロ圏消費者物価指数(前年比・速報値)3.6%3.2%
10/2(金) 21:30米国雇用統計(非農業部門雇用者数)9.0万人16.2万人
10/2(金) 21:30米国失業率4.1%4.1%
10/8(木) 03:00米国FOMC議事要旨——
10/14(水) 21:30米国消費者物価指数(前年比)—3.4%
10/21(水) 15:00英国消費者物価指数(前年比)—3.1%
10/28(水) 21:30英国秋季予算案——
10/29(木) 03:00米国FOMC政策金利発表—3.75〜4.00%
10/29(木) 22:15ユーロ圏ECB政策金利発表(中銀預金金利)—2.50%
10/30(金) 12:00頃日本日銀政策金利発表—1.25%

最大の焦点は10月29日(日本時間)のFOMCです。9月に利上げを再開したFRBが、続けて引き上げるのか、いったん様子を見るのかで、ドルと金利の方向感は大きく変わります。その判断材料となる米雇用統計(10月2日)と米消費者物価指数(10月14日)は、いつも以上に注目度が高くなりそうです。雇用統計の非農業部門雇用者数は前回16.2万人に対して予想は9.0万人と、伸びの鈍化が見込まれています。

ドル円では、10月30日の日銀会合に加えて、日本の通貨当局の動向が引き続き重要です。160円が近づくたびに介入への警戒が高まる構図は9月と変わらず、上値を追う動きと警戒による急落が交錯しやすい地合いです。値幅が大きくなりやすいため、ポジションサイズや損切りの位置はいつも以上に慎重に考えておきたいところです。

ユーロとポンドについては、10月2日のユーロ圏消費者物価指数(予想3.6%、前回3.2%)、10月21日の英消費者物価指数、10月28日の英秋季予算案、10月29日のECB理事会が節目になります。ゴールドは米金利の動向次第という面が強く、長期金利の上昇が一服するかどうかがポイントです。ビットコインも金利見通しの変化に反応しやすい状態が続いています。

いずれの銘柄も、上記はあくまで材料の整理であり、結果次第で相場の方向は大きく変わりえます。特定の方向を決めつけず、指標の結果と市場の反応を確かめながら判断していく姿勢が大切です。

まとめ

  • 9月はFRBの利上げ(誘導目標3.75〜4.00%)と米長期金利の上昇を背景にドル高が進み、ユーロドルは-2.43%、ポンド円は-3.52%
  • ゴールドは-6.54%。中東の緊張による原油高がインフレ懸念と金利上昇を招き、「有事の金買い」より金利上昇の重しが勝った
  • ドル円は160.388円から152.884円まで急落後、157.364円で終了。日銀の利上げ観測と日米の円安けん制が上値を抑えた
  • ビットコインは規制法案の頓挫と利上げを乗り越え+6.1%。月足は拡大レンジ、週足は上昇トレンド継続
  • 10月はFOMC(29日)・ECB(29日)・日銀(30日)が月末に集中。雇用統計と米消費者物価指数が利上げ観測を左右する

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