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ゴールドと実質金利の関係を検証:定説はいつ効いて、いつ効かないのか

ゴールドと実質金利の関係を検証 アイキャッチ

この記事を読むとこうなります
→ 「実質金利が上がるとゴールドが売られる」という定説が、実際にどれだけ成立してきたかが分かります
→ 2004年〜2026年の22年間で、この関係が時代によって真逆になっていた事実が分かります
→ 今のゴールド相場を金利だけで説明することの危うさが分かります

ゴールド(金)は「実質金利が上がると売られ、下がると買われる」とよく説明されます。金利のつかないゴールドは、実質金利(名目金利からインフレ期待を差し引いたもの)が高いほど資金運用として相対的に魅力が薄れる、という理屈です。この記事では、米連邦準備制度(FRB)が公表する公式統計と、MT5の実際のゴールド価格データを使って、この定説がどれだけ実態に即しているかを検証しました。

使用データと検証方法

米10年債の名目利回り(DGS10)と10年期待インフレ率(ブレークイーブンインフレ率、T10YIE)をFRB Economic Data(FRED)の公式統計から取得し、「名目利回り−期待インフレ率」で実質金利を算出しました。これをMT5の週足ゴールド価格(2004年2月〜現在)と突き合わせ、相関係数を計算しています。

ゴールド価格と米実質金利の推移
ゴールド価格(黒線、左軸)と米実質金利(赤線、右軸)の推移。青の帯が2004〜2014年、オレンジの帯が2015年以降。

検証結果:時代によって関係性が逆転していた

期間名目利回り vs ゴールド実質金利 vs ゴールド
全期間(2004〜2026年)-0.049(ほぼ無相関)-0.098(ほぼ無相関)
2004〜2014年-0.850(強い逆相関)-0.864(強い逆相関)
2015〜2026年+0.611(中程度の正の相関)+0.549(中程度の正の相関)
週次の変化どうし-0.039(ほぼ無相関)-0.033(ほぼ無相関)

2004〜2014年は「実質金利が上がるとゴールドが売られる」という定説が、相関係数-0.86という強さで見事に成立していました。ところが2015年以降は関係が逆転し、実質金利とゴールドがむしろ同じ方向に動く時代になっています。この2つの時代を平均してしまうと、全期間では相関がほぼゼロ(-0.10)という、実態を見えなくする数字になってしまいます。

週次の変化どうしの相関もほぼゼロで、「今週実質金利が動いたから今週ゴールドも動く」という短期的な連動も確認できませんでした。これは以前の記事で検証した為替と政策金利差の関係と同じパターンです。

なぜ2015年以降、関係が逆転したのか

正確な因果関係を統計だけから断定することはできませんが、2015年以降のゴールド相場では、実質金利以外の要因の影響力が強まったと考えられます。中国・ロシア・トルコなど新興国の中央銀行による外貨準備の金への分散(いわゆる「脱ドル化」)、2020年のコロナ禍における大規模な金融緩和とインフレ懸念、2022年以降の地政学リスク(ウクライナ情勢や中東情勢)による逃避需要の高まりなど、単一の金利指標では説明しきれない複合的な要因が重なっていることが背景にあると考えられます。

参考として、実質金利がマイナスだった週(200週)のゴールド価格は平均1,732.8ドル、プラスだった週(1,033週)は平均1,379.6ドルでした。単純平均で見ると定説に沿う形にはなっていますが、これは「近年は実質金利がマイナスの局面が多く、かつ近年はゴールド自体が長期的に値上がりしている」という時系列的な偏り(両者がたまたま同じ時期に集中している)の影響も否定できないため、この数字だけで因果関係を断定するのは早計です。

まとめ

  • 「実質金利が上がるとゴールドが売られる」という定説は、2004〜2014年には相関係数-0.86という強さで成立していた
  • 2015年以降はこの関係が逆転し、実質金利とゴールドが同じ方向に動く傾向が見られる
  • 全期間を通して平均すると相関はほぼゼロになり、「今の時代にどちらの関係が働いているか」を意識せずに定説だけを当てはめるのは危険
  • 週次の短期的な変化どうしの相関もほぼゼロで、金利差シリーズの前回記事と同じく、金利は長期的な背景要因であり短期の値動きの先行指標にはなりにくい

この記事を踏まえてトレードを始めたい方へ

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注意事項(本記事について)

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