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米CPI(消費者物価指数)とは?見方と発表時刻、過去10年の値動きの傾向【2026年】

米CPI(消費者物価指数)の上昇を、買い物かごと上向きの矢印、ローソク足で表したイメージ

読む前にご確認ください:発表日時や数値は変更・改定されることがあります。本記事は一般的な見方と過去データの集計をまとめたもので、将来の値動きを保証するものではありません。発表前には、必ず最新のカレンダーでご確認ください。

米CPI(消費者物価指数)とは?見方と発表時刻、過去10年の値動きの傾向【2026年】

米雇用統計と並んで、相場を大きく動かすのが米CPI(消費者物価指数)です。2022年のように、物価の上昇が続いた時期には、CPIの発表が、ドル円を数円動かすきっかけになりました。

この記事では、米CPIの基本、見るべき数字、発表時刻を整理したうえで、過去10年分の発表を集計し、「予想と比べてどうだったときに、どう動いたか」をデータで確認します。

この記事でわかること
・米CPIとは何か、どこが発表しているか
・総合CPIとコアCPIの違い
・発表時刻(日本時間)と、対象月の考え方
・CPIが為替に影響する理由(金利との関係)
・過去10年の「前回・予想・結果」と、発表後の値動きの傾向

発表日程の確認方法は、FX経済指標カレンダーの見方と使い方で解説しています。

米CPIとは

CPI(消費者物価指数)は、消費者が買うモノやサービスの価格の変化を示す指標で、米国では労働省の労働統計局(BLS)が毎月発表します。物価が上がりすぎると、FRBは利上げでそれを抑えようとするため、CPIは金利の見通しに直結し、為替に大きな影響を与えます。

総合CPIとコアCPI

種類 内容
総合CPI すべての品目を含む、いわゆる全体の物価です。
コアCPI 価格変動の大きい食品とエネルギーを除いた指数です。物価の基調を見るのに使われます。

発表では、それぞれに「前月比」と「前年同月比」があります。前年同月比は物価が1年でどれだけ上がったか、前月比は直近の勢いを示します。FRBは物価の安定を目標に掲げており、その目標は2%です。そのため、CPIの数字が2%よりどれだけ高いか、低いかも意識されます。

発表時刻(日本時間)と対象月

発表は米東部時間の朝8時30分で、日本時間にすると、米国が夏時間の間は21時30分、冬時間の間は22時30分です。発表される数字は、前月分の物価です。たとえば、10月14日に発表される数字は、9月分のCPIです。

なぜ為替が動くのか

物価の上昇が予想より強いと、FRBが利上げを続ける、あるいは利下げを遅らせるという見方が強まり、ドルが買われやすくなります。反対に、物価の上昇が予想より弱いと、利下げや利上げの打ち止めが意識され、ドルが売られやすくなります。2022年のように、物価が最大の関心事だった時期ほど、CPIの影響は大きくなりました。

実際の事例:2022年11月10日の発表

2022年10月分の発表では、総合CPI(前年同月比)が結果7.7%、予想8.0%、前回8.2%、コアCPI(前年同月比)が結果6.3%、予想6.5%でした。予想を下回ったこの発表の後、ドル円は発表直前の146.11円から、30秒後に145.21円(約90pips下落)、5分後に144.35円(約176pips下落)、1時間後に143.27円(約283pips下落)となり、その日のNY市場の引けは140.97円でした。発表後に動きが一方向に続いた事例です(Dukascopyの価格データに基づく)。

ドル円・ユーロドル・ゴールドを並べて比べると

値は、いずれも発表の直前の価格を基準にした変化幅です。ドルが買われる(ドル高の)材料のとき、ドル円は上がり、ユーロドルとゴールドは下がります。そのため、表の符号は銘柄ごとに逆向きになります。

銘柄 上振れ時の30秒後(平均) 下振れ時の30秒後(平均) ズレから想定される
ドルの方向との一致率(30秒後)
発表前5分の値幅(平均) 発表後5分間の値幅(平均)
ドル円 +22.2pips -29.9pips 85% 7.3pips 45.6pips
ユーロドル -18.1pips +20.2pips 85% 6.2pips 33.4pips
ゴールド -3.9ドル +6.7ドル 86% 2.4ドル 11.4ドル
  • 米CPIでは、3銘柄とも、予想とのズレから想定されるドルの方向と、30秒後の動きが一致した割合は85〜86%でした。どの銘柄でも、反応の向きは同じ(ドルの強弱)で、規模だけが違います。
  • 発表後5分間の値幅は、発表前5分の約5〜6倍になりました。発表前は静かで、発表後に一気に動く傾向は、3銘柄に共通しています。

グラフで見る、発表前後の値動き(ドル円)

米CPIの発表前後の、ドル円の平均的な値動き。上振れ・予想通り・下振れ別の折れ線グラフ
予想とのズレの区分ごとの、発表直前からの平均的な値動き。

グラフの元の数値(単位:pips)

区分 件数 発表前30分 発表前5分 発表直前 30秒後 1分後 5分後 10分後 30分後 1時間後 NY引け
上振れ 42 +1.2 +1.2 0 +22.2 +20.3 +21.6 +21.3 +23.8 +24.4 +26.7
予想通り・割れ 27 +3.3 +1.6 0 -5.0 -4.1 -8.0 -7.8 -13.7 -8.3 -9.0
下振れ 51 +1.1 +0.2 0 -29.9 -28.8 -29.4 -30.1 -34.8 -38.1 -37.8
米CPI:発表前5分の値幅と、発表後の平均の絶対変動(ドル円)の棒グラフ
発表前は静かで、発表後に一気に動きます。

グラフの元の数値(単位:pips、120回の平均)

発表前5分の値幅 30秒後 1分後 5分後 10分後 30分後 1時間後 NY引け
7.3 24.8 24.8 27.2 28.4 34.7 36.3 52.0
米CPIへの、年別のドル円の反応の大きさ(30秒後の平均の絶対変動)
近年、発表への反応が大きくなっています。

グラフの元の数値(単位:pips)

年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 2025年 2026年
回数 4 12 12 12 12 12 12 12 12 11 9
30秒後の平均の絶対変動 9.8 25.0 8.3 4.9 2.4 11.2 66.1 34.1 42.0 39.6 19.1

過去10年のデータで見る、米CPIの発表後の値動き(ドル円)

データから分かること

  • 予想より高ければドル高、低ければドル安に動く:上振れの42回では、30秒後に平均+22.2pips(上昇81%)、下振れの51回では-29.9pips(上昇12%)でした。ズレから想定されるドルの方向と、30秒後の実際の動きが一致した割合は85%です。
  • 下振れのほうが、動きが長く続いた:下振れの1時間後は平均-38.0pips、NY引けは-37.8pipsでした。上振れは、1時間後が+24.4pips、NY引けが+26.7pipsです。
  • 発表前は静か、発表後は急に動く:発表前5分の値幅は平均7.3pips、発表後5分間の値幅は平均45.6pips(約6倍)でした。
  • 近年、反応が大きく、読みやすくなった:30秒後の平均の絶対変動は、2016〜2021年の10.3pipsから、2022〜2026年は41.3pipsに拡大しました。ズレから想定されるドルの方向と、30秒後の動きが一致した割合も、80%から90%に上がっています。物価が最大の関心事になったことが、背景にあると考えられます。
  • 総合とコアで割れたときは、方向が出にくい:「予想通り、または割れた」27回の30秒後の平均は-5.0pipsで、直後の方向が引けまで続いた割合は48%にとどまりました(上振れ74%、下振れ75%)。
ドル円の表(ズレ別の値動き・絶対変動・直近12回)を開く

集計の前提です。価格はDukascopyの公開データ(bid/askの中値)を使い、変化幅は「発表の直前の価格」との差をpipsで示しています。プラスはドル円が上昇(ドル高)したことを表します。括弧内の「上昇」は、その時点で発表前より上がっていた回数の割合です。NY引けは、米国東部時間の17時(日本時間の6時または7時)の価格です。

予想とのズレ別に見た、発表後の値動き(ドル円・平均)

2016年9月〜2026年9月の米CPIのうち、総合とコア(前年同月比)の予想が取れた120回が対象です。総合CPIとコアCPIの「結果−予想」を合わせて、3つに分けています(0.05ポイント未満のズレは「予想通り」としました)。

区分 件数 直後(30秒) 1分後 5分後 10分後 30分後 1時間後 NY引け
上振れ(総合・コアとも予想以上) 42 +22.2
(上昇81%)
+20.3
(上昇81%)
+21.6
(上昇74%)
+21.3
(上昇69%)
+23.8
(上昇62%)
+24.4
(上昇69%)
+26.7
(上昇55%)
予想通り、または総合とコアで割れた 27 -5.0
(上昇37%)
-4.1
(上昇37%)
-8.0
(上昇30%)
-7.8
(上昇26%)
-13.7
(上昇37%)
-8.3
(上昇33%)
-9.0
(上昇44%)
下振れ(総合・コアとも予想以下) 51 -29.9
(上昇12%)
-28.9
(上昇12%)
-29.4
(上昇18%)
-30.1
(上昇20%)
-34.8
(上昇27%)
-38.0
(上昇25%)
-37.8
(上昇33%)
全体 120 -6.0
(上昇42%)
-6.1
(上昇42%)
-6.7
(上昇40%)
-7.1
(上昇38%)
-9.5
(上昇42%)
-9.5
(上昇42%)
-8.8
(上昇43%)

平均の絶対変動(ドル円・方向を無視した動きの大きさ)

区分 件数 発表前5分の値幅(平均) 直後(30秒) 1分後 5分後 10分後 30分後 1時間後 NY引け 発表後5分間の値幅(平均)
全体 120 7.3 24.8 24.8 27.2 28.4 34.7 36.3 52.0 45.6
上振れ 42 7.5 23.8 21.8 25.8 27.0 31.7 31.9 45.8 44.8
予想通り・割れ 27 6.9 12.5 13.9 16.4 14.7 22.7 20.9 39.6 37.6
下振れ 51 7.4 32.1 33.1 34.0 36.7 43.6 48.1 63.7 50.5

直近12回の一覧

前回・予想・結果は、総合CPIの前年同月比(単位は%)です。値動きは、発表直前の価格からの変化幅(pips)です。

発表日 前回 予想 結果 直後(30秒) 1分後 5分後 10分後 30分後 1時間後 NY引け
2026-09-11 3.4 3.4 3.4 +33.7 +47.7 +19.7 +7.5 -47.3 -43.1 -41.8
2026-08-12 3.5 3.4 3.4 +14.5 +18.8 -2.8 -12.7 -16.3 -12.2 +45.4
2026-07-14 4.2 3.8 3.5 -47.6 -46.4 -37.8 -31.4 -22.0 -25.8 +11.8
2026-06-10 3.8 4.2 4.2 -5.6 -2.2 -3.6 -2.3 +1.0 -1.3 +11.9
2026-05-12 3.3 3.7 3.8 +5.8 +3.3 -1.6 -0.9 -3.3 -0.6 +4.7
2026-04-10 2.4 3.3 3.3 -9.4 -11.7 -5.8 -7.2 +3.1 -1.9 +14.6
2026-03-11 2.4 2.4 2.4 -0.8 +5.1 +10.6 +4.5 +20.8 +12.0 +55.1
2026-02-13 2.7 2.5 2.4 -30.5 -31.9 -23.7 -18.8 -22.6 -39.5 -61.6
2026-01-13 2.7 2.7 2.7 -23.8 -16.2 -20.1 -6.9 -2.4 -6.5 +21.6
2025-12-18 – 3.1 2.7 -21.8 -17.5 -7.8 -12.6 -14.1 -34.2 -18.0
2025-10-24 2.9 3.1 3 -40.4 -39.4 -43.8 -37.2 -20.8 -10.8 -3.0
2025-09-11 2.7 2.9 2.9 -16.1 -30.2 -39.8 -44.0 -32.6 -35.0 -64.6


過去10年のデータで見る、米CPIの発表後の値動き(ユーロドル)

データから分かること

  • 予想より高ければドル高、低ければドル安に動く:上振れ(ドル高の材料)の42回では、30秒後に平均-18.1pips(上昇19%)、下振れ(ドル安の材料)の51回では+20.2pips(上昇88%)でした。ズレから想定されるドルの方向と、30秒後の実際の動きが一致した割合は85%です。
  • 下振れのほうが、動きが長く続いた:下振れの1時間後は平均+27.1pips、NY引けは+22.2pipsでした。上振れは、1時間後が-19.4pips、NY引けが-16.0pipsです。
  • 発表前は静か、発表後は急に動く:発表前5分の値幅は平均6.2pips、発表後5分間の値幅は平均33.4pips(約5倍)でした。
  • 近年、反応が大きく、読みやすくなった:30秒後の平均の絶対変動は、2016〜2021年の10.0pipsから、2022〜2026年は28.0pipsに拡大しました。ズレから想定されるドルの方向と、30秒後の動きが一致した割合も、76%から95%に上がっています。物価が最大の関心事になったことが、背景にあると考えられます。
  • 総合とコアで割れたときは、方向が出にくい:「予想通り、または割れた」27回の30秒後の平均は+3.7pipsで、直後の方向が引けまで続いた割合は41%にとどまりました(上振れ74%、下振れ69%)。
ユーロドルの表(ズレ別の値動き・絶対変動・直近12回)を開く

集計の前提です。価格はDukascopyの公開データ(bid/askの中値)を使い、変化幅は「発表の直前の価格」との差をpipsで示しています。プラスはユーロドルが上昇(ユーロ高・ドル安)したことを表します。括弧内の「上昇」は、その時点で発表前より上がっていた回数の割合です。NY引けは、米国東部時間の17時(日本時間の6時または7時)の価格です。

予想とのズレ別に見た、発表後の値動き(ユーロドル・平均)

2016年9月〜2026年9月の米CPIのうち、総合とコア(前年同月比)の予想が取れた120回が対象です。総合CPIとコアCPIの「結果−予想」を合わせて、3つに分けています(0.05ポイント未満のズレは「予想通り」としました)。

区分 件数 直後(30秒) 1分後 5分後 10分後 30分後 1時間後 NY引け
上振れ(総合・コアとも予想以上) 42 -18.1
(上昇19%)
-19.5
(上昇17%)
-18.0
(上昇31%)
-17.3
(上昇31%)
-17.1
(上昇33%)
-19.4
(上昇29%)
-16.0
(上昇36%)
予想通り、または総合とコアで割れた 27 +3.7
(上昇63%)
+3.6
(上昇59%)
+5.6
(上昇52%)
+5.9
(上昇63%)
+6.9
(上昇67%)
+0.3
(上昇59%)
+6.2
(上昇48%)
下振れ(総合・コアとも予想以下) 51 +20.2
(上昇88%)
+20.7
(上昇88%)
+22.5
(上昇84%)
+22.5
(上昇84%)
+24.5
(上昇80%)
+27.1
(上昇76%)
+22.2
(上昇61%)
全体 120 +3.1
(上昇58%)
+2.8
(上昇57%)
+4.5
(上昇58%)
+4.8
(上昇61%)
+6.0
(上昇61%)
+4.8
(上昇56%)
+5.3
(上昇49%)

平均の絶対変動(ユーロドル・方向を無視した動きの大きさ)

区分 件数 発表前5分の値幅(平均) 直後(30秒) 1分後 5分後 10分後 30分後 1時間後 NY引け 発表後5分間の値幅(平均)
全体 120 6.2 18.4 19.1 21.6 21.9 26.0 28.0 41.2 33.4
上振れ 42 6.1 19.8 21.0 24.1 25.0 27.5 28.9 44.5 36.6
予想通り・割れ 27 7.3 10.3 10.2 12.2 11.5 17.4 19.2 39.1 27.1
下振れ 51 5.6 21.5 22.2 24.4 25.0 29.4 31.8 39.6 34.1

直近12回の一覧

前回・予想・結果は、総合CPIの前年同月比(単位は%)です。値動きは、発表直前の価格からの変化幅(pips)です。

発表日 前回 予想 結果 直後(30秒) 1分後 5分後 10分後 30分後 1時間後 NY引け
2026-09-11 3.4 3.4 3.4 -16.5 -21.8 -15.4 -10.3 +6.2 +7.4 +1.8
2026-08-12 3.5 3.4 3.4 -8.2 -11.3 +2.0 +7.7 +12.6 +7.6 -21.4
2026-07-14 4.2 3.8 3.5 +45.2 +45.0 +35.4 +29.2 +31.8 +35.8 +5.6
2026-06-10 3.8 4.2 4.2 +8.0 +4.1 +3.2 +7.4 +1.8 +10.6 -11.2
2026-05-12 3.3 3.7 3.8 -4.5 -3.1 +3.2 +1.5 +7.0 -1.0 -2.3
2026-04-10 2.4 3.3 3.3 +5.0 +6.7 +7.7 +7.5 +7.3 +19.8 +11.0
2026-03-11 2.4 2.4 2.4 +1.2 -5.8 -12.2 -3.8 -18.3 -12.9 -33.8
2026-02-13 2.7 2.5 2.4 +19.9 +20.9 +14.5 +8.7 +14.5 +8.6 +9.0
2026-01-13 2.7 2.7 2.7 +20.4 +15.5 +16.1 +9.0 +15.6 +16.2 -10.5
2025-12-18 – 3.1 2.7 +19.9 +18.3 +9.7 +8.4 +17.8 +9.8 -6.7
2025-10-24 2.9 3.1 3 +25.7 +27.0 +28.9 +22.4 +20.6 +19.7 +14.9
2025-09-11 2.7 2.9 2.9 +22.1 +18.0 +31.8 +27.4 +30.9 +40.9 +50.1


過去10年のデータで見る、米CPIの発表後の値動き(ゴールド)

データから分かること

  • 予想より高ければドル高、低ければドル安に動く:上振れ(ドル高の材料)の41回では、30秒後に平均-3.9ドル(上昇20%)、下振れ(ドル安の材料)の49回では+6.7ドル(上昇90%)でした。ズレから想定されるドルの方向と、30秒後の実際の動きが一致した割合は86%です。
  • 下振れのほうが、動きが長く続いた:下振れの1時間後は平均+7.3ドル、NY引けは+7.6ドルでした。上振れは、1時間後が-2.5ドル、NY引けが+0.2ドルです。
  • 発表前は静か、発表後は急に動く:発表前5分の値幅は平均2.4ドル、発表後5分間の値幅は平均11.4ドル(約5倍)でした。
  • 近年、反応が大きく、読みやすくなった:30秒後の平均の絶対変動は、2016〜2021年の1.9ドルから、2022〜2026年は9.9ドルに拡大しました。ズレから想定されるドルの方向と、30秒後の動きが一致した割合も、79%から93%に上がっています。物価が最大の関心事になったことが、背景にあると考えられます。
  • 総合とコアで割れたときは、方向が出にくい:「予想通り、または割れた」27回の30秒後の平均は+0.0ドルで、直後の方向が引けまで続いた割合は56%にとどまりました(上振れ56%、下振れ78%)。
ゴールドの表(ズレ別の値動き・絶対変動・直近12回)を開く

集計の前提です。価格はDukascopyの公開データ(bid/askの中値)を使い、変化幅は「発表の直前の価格」との差をドルで示しています。プラスはゴールドが上昇(ゴールド高)したことを表します。括弧内の「上昇」は、その時点で発表前より上がっていた回数の割合です。NY引けは、米国東部時間の17時(日本時間の6時または7時)の価格です。

予想とのズレ別に見た、発表後の値動き(ゴールド・平均)

2016年9月〜2026年9月の米CPIのうち、総合とコア(前年同月比)の予想が取れた117回が対象です。総合CPIとコアCPIの「結果−予想」を合わせて、3つに分けています(0.05ポイント未満のズレは「予想通り」としました)。

区分 件数 直後(30秒) 1分後 5分後 10分後 30分後 1時間後 NY引け
上振れ(総合・コアとも予想以上) 41 -3.9
(上昇20%)
-3.6
(上昇20%)
-3.1
(上昇37%)
-1.8
(上昇44%)
-1.5
(上昇56%)
-2.5
(上昇39%)
+0.2
(上昇49%)
予想通り、または総合とコアで割れた 27 +0.0
(上昇59%)
+0.3
(上昇70%)
+2.5
(上昇59%)
+3.2
(上昇78%)
+4.1
(上昇70%)
+3.3
(上昇59%)
-1.8
(上昇59%)
下振れ(総合・コアとも予想以下) 49 +6.7
(上昇90%)
+7.0
(上昇90%)
+7.5
(上昇84%)
+7.3
(上昇84%)
+6.6
(上昇76%)
+7.3
(上昇73%)
+7.6
(上昇71%)
全体 117 +1.5
(上昇58%)
+1.7
(上昇61%)
+2.7
(上昇62%)
+3.2
(上昇68%)
+3.2
(上昇68%)
+2.9
(上昇58%)
+2.8
(上昇61%)

平均の絶対変動(ゴールド・方向を無視した動きの大きさ)

区分 件数 発表前5分の値幅(平均) 直後(30秒) 1分後 5分後 10分後 30分後 1時間後 NY引け 発表後5分間の値幅(平均)
全体 117 2.4 5.8 6.2 6.6 6.9 7.8 8.7 13.8 11.4
上振れ 41 1.7 4.4 4.5 5.5 6.2 7.2 7.7 12.9 9.9
予想通り・割れ 27 3.7 5.6 6.6 4.8 4.6 7.0 6.1 12.4 12.6
下振れ 49 2.3 7.0 7.4 8.4 8.8 8.7 10.9 15.2 12.1

直近12回の一覧

前回・予想・結果は、総合CPIの前年同月比(単位は%)です。値動きは、発表直前の価格からの変化幅(ドル)です。

発表日 前回 予想 結果 直後(30秒) 1分後 5分後 10分後 30分後 1時間後 NY引け
2026-09-11 3.4 3.4 3.4 -34.6 -44.5 -11.6 +8.7 +47.2 +48.8 +7.1
2026-08-12 3.5 3.4 3.4 -32.0 -33.4 -2.2 +1.6 +10.2 -8.9 -19.2
2026-07-14 4.2 3.8 3.5 +46.2 +57.0 +65.8 +56.6 +45.9 +51.5 +23.9
2026-06-10 3.8 4.2 4.2 +19.8 +27.8 +21.2 +19.5 +5.7 +8.5 -69.0
2026-05-12 3.3 3.7 3.8 -6.4 -4.1 -4.8 +4.0 +8.1 -6.8 +17.0
2026-04-10 2.4 3.3 3.3 +8.4 +13.6 +17.8 +13.1 +8.9 +12.9 -14.9
2026-03-11 2.4 2.4 2.4 +1.1 -3.5 -9.8 -14.1 -24.0 -10.0 -15.1
2026-02-13 2.7 2.5 2.4 +30.0 +27.6 +26.4 +25.0 +19.9 +35.3 +75.6
2026-01-13 2.7 2.7 2.7 +11.6 +10.4 +12.3 +13.1 +10.5 +17.2 -14.7
2025-12-18 – 3.1 2.7 +8.2 +9.8 +8.6 +12.9 +15.7 +11.8 +10.2
2025-10-24 2.9 3.1 3 +19.4 +29.3 +28.6 +19.2 +20.7 +52.7 +50.8
2025-09-11 2.7 2.9 2.9 +7.2 +7.9 +15.3 +14.8 +5.3 -2.2 +10.2

データから考える、米CPIの発表後のトレード戦略(検証結果)

ここまでのデータを使って、発表後に売買するルールを検証しました。事前に決めたルールを、そのまま過去の全回に当てはめた結果です(結果を見てから、良いルールを探し直してはいません)。エントリーは発表の1分後です。発表の30秒後に成行で入るのは、現実には難しいためです。決済は5分後〜NY引けの5通りで、損切りは入れていません。コストは、1回の往復で3pips(コストA)と5pips(コストB)を仮定しました。通常の口座では、発表直後はスプレッドが広がるため、実際のコストはこれより大きくなることがあります。

期待値は「1回あたりの平均損益」、PFは「総利益÷総損失」で、1を超えれば、利益のほうが大きいことを示します。

米CPI:ズレが特に大きい回だけ順張りしたときの期待値(ドル円、期間別)
ズレが特に大きい回だけ順張りしたときの、1回あたりの期待値(コスト後)。期間によって結果が大きく違います。

グラフの元の数値(単位:pips、1回あたりの期待値・往復コスト3pips差引後)

期間 件数 30分後 1時間後 NY引け
2016〜2021年 28 -3.2 -1.4 +2.3
2022〜2026年 28 +13.6 +19.4 +29.6

検証から分かったこと

  • 1分後に入る時点で、動きの大半はすでに終わっている:ズレが出た回で、想定した方向への平均の動きは、30秒後に+26.4pips、1分後に+25.0pips、1時間後に+31.9pipsでした。1分後の時点で、1時間後までの動きの約78%がすでに出ています。
  • 総合・コアが揃って大きく外れた回(56回)に、ズレの方向へ順張りし、長く持つと、期待値が最も高く出ました。コストAを引いた期待値は、30分後+5.2pips、1時間後+9.0pips、NY引け+16.0pips(勝率54%、PF2.2)です。
  • ただし、期間による差が大きい:同じルールのNY引けの期待値は、2016〜2021年が+2.3pips、2022〜2026年は+29.6pipsでした。物価が最大の関心事だった2022年以降に、効果が偏っています。最悪の1回は、-135.9pipsでした。
  • 統計的には、偶然と区別できない:NY引けの期待値の95%信頼区間(ブートストラップ法)は、−1.8〜+37.1pips(コスト後)と、ゼロをまたいでいます。複数のルールと決済時点を試したうえで、最も良い結果を選んでいるため、見た目の数字より控えめに受け止める必要があります。
  • 最初の30秒の動きに順張りするだけ(全回)では、優位性は小さい:コストA後の期待値は、5分後-4.2pips、1時間後+0.8pips、NY引け+3.0pipsでした。
  • 逆張りは不利:最初の30秒の動きと逆に入るルールは、コストA後の期待値が、すべての決済で-1.8〜-9.0pipsと、マイナスでした(逆行する値動きに、損切りなしで耐える形になるため、損失が大きくなります)。

ユーロドルとゴールドでは、同じルールでも、期待値が小さい、またはマイナスの結果が多く、ドル円ほどの傾向は再現しませんでした。

ルール別・決済別の検証結果(ドル円)を開く
ルール 決済 件数 期待値(コストなし) 期待値(コスト後) 勝率 PF 2016〜2021年 2022〜2026年 最悪の1回
ズレの方向に順張り(ズレが大きい回だけ) 5分後 93 +0.9 -2.1 35% 0.6 -2.2 -2.0 -76.2
ズレの方向に順張り(ズレが大きい回だけ) 30分後 93 +4.8 +1.8 39% 1.2 -3.5 +8.3 -68.2
ズレの方向に順張り(ズレが大きい回だけ) 1時間後 93 +6.9 +3.9 46% 1.5 -3.0 +12.3 -80.7
ズレの方向に順張り(ズレが大きい回だけ) NY引け 93 +7.8 +4.8 47% 1.3 -3.2 +14.4 -135.9
ズレが特に大きい回だけ順張り 5分後 56 +1.0 -2.0 36% 0.7 -1.5 -2.6 -76.2
ズレが特に大きい回だけ順張り 30分後 56 +8.2 +5.2 41% 1.5 -3.2 +13.6 -68.2
ズレが特に大きい回だけ順張り 1時間後 56 +12.0 +9.0 52% 2.0 -1.4 +19.4 -80.7
ズレが特に大きい回だけ順張り NY引け 56 +19.0 +16.0 54% 2.2 +2.3 +29.6 -135.9
最初の30秒の動きに順張り(全回) 5分後 120 -1.2 -4.2 32% 0.4 -2.5 -6.3 -126.8
最初の30秒の動きに順張り(全回) 30分後 120 +2.1 -0.9 41% 0.9 -3.0 +1.4 -136.7
最初の30秒の動きに順張り(全回) 1時間後 120 +3.8 +0.8 45% 1.1 -2.4 +4.4 -93.9
最初の30秒の動きに順張り(全回) NY引け 120 +6.0 +3.0 49% 1.2 -0.2 +6.7 -172.7
最初の30秒の動きと逆に逆張り(全回) 5分後 120 +1.2 -1.8 32% 0.7 -3.5 +0.3 -55.1
最初の30秒の動きと逆に逆張り(全回) 30分後 120 -2.1 -5.1 39% 0.6 -3.0 -7.4 -225.7
最初の30秒の動きと逆に逆張り(全回) 1時間後 120 -3.8 -6.8 39% 0.5 -3.6 -10.4 -237.1
最初の30秒の動きと逆に逆張り(全回) NY引け 120 -6.0 -9.0 40% 0.6 -5.8 -12.7 -393.5
ズレの方向に順張り+最初の30秒が同じ方向のとき 5分後 79 +1.2 -1.8 38% 0.7 -2.0 -1.6 -76.2
ズレの方向に順張り+最初の30秒が同じ方向のとき 30分後 79 +6.3 +3.3 42% 1.4 -3.2 +10.4 -68.2
ズレの方向に順張り+最初の30秒が同じ方向のとき 1時間後 79 +8.9 +5.9 49% 1.7 -2.7 +15.1 -80.7
ズレの方向に順張り+最初の30秒が同じ方向のとき NY引け 79 +12.1 +9.1 52% 1.6 -0.0 +19.0 -135.9

期待値は、1回あたりの平均損益(pips)です。コスト後はコストAを差し引いています。PFは総利益÷総損失、最悪の1回はコストA後の最大損失です。

他の銘柄でも同じルールを試した結果(ズレが特に大きい回だけ順張り)

銘柄 決済 件数 期待値(コスト後) 勝率 2016〜2021年 2022〜2026年
ドル円 1時間後 56 +9.0pips 52% -1.4 +19.4
ドル円 NY引け 56 +16.0pips 54% +2.3 +29.6
ユーロドル 1時間後 56 +1.6pips 52% -0.9 +4.2
ユーロドル NY引け 56 +0.4pips 43% -4.3 +5.0
ゴールド 1時間後 53 +0.0ドル 57% -2.7 +2.5
ゴールド NY引け 53 -0.6ドル 47% -1.2 -0.1

このデータから言えること、言えないこと

  • 言えること:発表の前後は、値動きが急に大きくなります。ポジションの大きさや損切りの位置は、事前に決めておく価値があります。
  • 言えないこと:発表の結果から、短時間で確実に利益を取れる方法があるとは、このデータからは言えません。動きの多くは、発表の1分以内に終わっています。
  • EAを動かしている場合は、発表の前後に動きを止める、またはロットを抑えるといった判断のほうが、期待値を守る点で役に立ちます(詳しくは、EA運用の相場急変対策)。

この検証は、過去のデータに基づく参考情報で、将来の成績を保証するものではありません。投資助言ではなく、取引の判断はご自身でお願いします。


発表前後に気をつけたいこと

  • 発表直後は、スプレッドが広がり、スリッページも起きやすくなります。
  • ポジションを持ったまま迎える場合は、ロットと証拠金維持率を事前に確認します。
  • EAを動かしている方は、EA運用の相場急変対策も参考にしてください。

よくある質問

Q. CPIとコアCPIは、どちらが重要ですか?
A. どちらも見られます。物価の基調を重視する場面ではコアCPIが、全体の物価を見る場面では総合CPIが注目されます。発表時は、両方を予想と比べるのが基本です。

Q. CPIの発表日は毎月決まっていますか?
A. 毎月中旬ごろですが、日付は月ごとに変わります。労働統計局の公式カレンダーや、経済指標カレンダーで確認してください。

Q. 物価が上がると、なぜドルが買われやすいのですか?
A. 物価の上昇を抑えるため、利上げが意識されやすいからです。金利が高い通貨は買われやすい、という関係があります。

まとめ

  • 米CPIは、労働統計局が毎月発表する物価の指標で、金利の見通しを通じて為替に影響する
  • 総合CPIとコアCPI、前年同月比と前月比を、予想との差で読む
  • 日本時間では、夏時間の間は21時30分、冬時間の間は22時30分の発表

注意事項

  • 経済指標の発表日時・数値は変更や改定が行われる場合があります。最新の情報は、各発表元の公式サイトでご確認ください。
  • 本記事の値動きは、過去の実績に基づく集計であり、将来の結果を保証するものではありません。
  • 海外FXの利用は、日本の金融庁に登録されていない業者を含みます。規約・リスクをご自身でご確認ください。
  • 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の取引や投資行動を推奨するものではありません。

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