【値幅】理論と観測、計算とFXトレードテクニックについて解説します
目次
FX(為替証拠金取引)に於いて、0.1pips(一部のFX会社では1pips)の値動きが最小の値幅になります。チャートの値動きの中でもエントリー、損切、利益確定についてはさまざまな見解がありますが、値幅理論の知識があることでトレード幅も広がります。特に「値幅を予測して利益を伸ばす」ことを目的としているため、「利確が難しい」と考えているトレーダーには、覚えたほうがいいといえる知識のひとつです。これは、主に「決済ポイント」について使用するものです。
エントリーにルールを設けているトレーダーは多いですが、決済にもルールを設けることで初心者から上級者への道のりが、グンと近づきます。ぜひ、学んでみてください。
値幅理論
過去の値幅から、今後の値幅予測が可能です。なぜなら、チャートは直近の値動きを繰り返す習性があるからです。今まで動いた同じ分だけさらに伸びていくという考え方が基本です。100%そうなるわけではないので、やはり注意が必要なことはいうまでもありませんが、値幅が予測できるということは、=(イコール)利益をそこまで伸ばせるということです。値幅観測で求められた価格は、多くのトレーダーが注目しているため、反応がある価格といえます。
過去の高値・安値の価格差から、今後の高値・安値を導き出すものです。上級者は値幅を観測し、ある程度の目安をもって決済しています。
値幅観測論
一目均衡表では、三大理論のひとつとして「値幅観測論」をあげています。V計算、N計算、E計算、NT計算の4種類がありますが、ここでは多くのトレーダーに使用される「E計算」と「N計算」について触れておきます。
E計算
よく使用されるのは、上左のE計算かと思われます。レンジをブレイクした後の値幅は、レンジ内の値幅と同等幅になるというパターンです。レンジ相場での逆張りトレードは「ダマシ」などもあり、簡単に攻略できるわけではありませんが、きちんとブレイクした時には確認しておきたい利確ポイントです。
N計算
高値・安値を更新してトレンドになった際に、押し目(戻り目)を付ける前の値幅と同等分、トレンドが発生すると予測できます。
N計算は値幅観測論の中でも特に有名な理論であり、注目されるポイントといえます。トレーダーの8割がトレンドフォロー型といわれていますので、その分、反応も強いです。押し目・戻り目を見ているトレーダーには必須といえるでしょう。
どのような場面で使い分けるかは下記を参照してください。
- N・NT計算:トレンドフォローの押し目・戻り目
- E・V計算 :レンジブレイク
フィボナッチを使った値幅観測
フィボナッチリトレースメントは、押し目・戻り目を予測する際に使用するトレーダーも多いと思われますが、今後の予測ツールとしても優秀なインジケータです。また、フィボナッチエキスパンションも一連の動きがどこまで伸びるかなどを知ることができます。
フィボナッチでは「半値(50.0%)戻し」「61.8%戻し」が押し目(戻り目)、「100.0%」「161.8%」及び「261.8%」が決済ポイントとして注目されています。
エリオット波動の値幅観測
上記した「N計算」について、エリオット波動理論では、高値・安値を更新した3波めが「1波の約2倍になる」という理論があります。1波目を観測したら、同等間隔のラインと2倍になるラインを引いて、目安にしてみましょう。
値幅計算
FXは、「損を小さく利を大きく伸ばす」ことを目標にトレードすることで、大きく資産を増やせるのが魅力です。とはいえ、エントリーをしたものの、なかなか利益が伸びないなどの悩みを抱えるトレーダーも多いのですね。
そこで、値幅観測・計算をすることのメリットには、例えば「チキン利食いしてしまう」「利益が伸ばせない」などの悩み解消になり、「どこまでトレンドが続くのかわからない」という疑問を持っているトレーダーなどは、この値幅計算をすることで決済ポイントが理解できるようになるのですね。
値幅計算基本
「B-A」の値幅=「D-C」(E計算の図ではE-D)の値幅
N計算では、視覚的にわかりやすくするにはフィボナッチエキスパンションを組み合わせるといいでしょう。Aを起点①として、Bを起点②とします。起点③はC。Dが利確ポイントで、100.0%になります(図参照)。
トレードテクニック
トレンド相場、レンジ相場を見分けることが大前提になります。
上のドル円日足の画像では、左にフラッグが発生。右上がりのフラッグは下に抜けます。そこから同等の値幅でボックスレンジが発生。上にレンジブレイク後、サポートラインで「押し目」を付け上昇トレンドになっています。値幅観測としても「お手本」のようなチャートになっていますね。上記したエリオット波動を利用したN計算の値幅(2倍)が利確ポイントになりました。利確後の二度目の押し目も半値戻しで、同等のラインが引ける地点です。
このチャートでは、ライントレードだけでも完結するのですが、値幅観測をすることで、よりトレ-ドの幅も広がったことがわかります。
ラインを使うテクニック
水平ライン、トレンド&チャネルライン、どちらも必要になるテクニックです。うまく引けるように練習しましょう。水平線の「ボックスレンジ」や斜め平行に引ける「フラッグ」は、覚えておきたいチャートパターンですが、上記のようにレンジブレイクを利用したテクニックで、ローソク足がブレイクしたら、同等の価格を次のターゲットにします。E計算では階段を昇っていくイメージになりますが、1段目をレンジブレイクしたら2段目、次に3段目。またE計算➡N計算に発展させて観察することも、ポイントのひとつになります。
合わせて覚えておきたい注文方法
チャートはゆるゆると調整を繰り返し、時にはボラができたりして進んでいるため、いつ目標価格にたどり着くのかが不明です。チャートを監視していても、その時に席についていないとチャンスを逃してしまうことにもなりますので、予約注文を積極的に取り入れることをおすすめします。特にサラリーマンなど、チャートを見る時間さえ確保できない兼業トレーダーでも、この方法で裁量トレードでありながらもチャートを監視せずにトレードできるという優れものです。「OCO注文」「IFO注文」、また「トレール注文」を駆使してみましょう。
忘れてはいけないのが「逆指値(損切)」注文です。損失を極力小さくするために、必ず注文しておきましょう。利益がある程度のったら「トレール注文」に切り替えます。
IFO注文
エントリー注文が約定した後に、「決済」と「損切」を予約できます。
例:ドル円「120.000」で「まだ上昇しそう」と思って「ロングエントリー」で約定➡「決済は124.500まで利益を伸ばす」「損切は119.800に抑える」と注文をしておくことで、利益確定できれば「+450.0pips」、損切にかかると「-20.0pips」となります。もちろん、124.500まで伸びなければ決済はされません。
OCO注文
エントリー注文を含んですべてを予約できます。
例:いま、ドル円「121.000」で「まだ上昇しそう」と思うが、「120.000」まで一旦落ちそうだ。チャートを見ている時間はない。➡「120.000でロングエントリー」「決済は124.500」「損切は119.800」という注文をしておくことで、120.000まで下落した時にエントリー注文が約定、利益確定できれば「+450.0pips」、損切にかかると「-20.0pips」となります。もちろん、120.000まで下落しなければエントリー自体が成立しません。
トレール注文
これは「逆指値(損切)」注文ですが、利益がある程度乗っている取引について設定しておくことで、「損切注文」が自動でズレてくれるため、利益を伸ばしていくことができます。
例:ドル円「120.000」で「ロングエントリー」で約定➡「決済は124.500」予約、122.000まで上昇してきた。「損切は119.800」だが利益に対して適していない。200.0pipsがプラスになっているし、利益に対して「-20.0pips」の損切(ストップ)を入れておきたい。➡利益確定できれば「+450.0pips」、損切にかかると「現在の利益-20.0pips」となります。
FX会社によっては、トレール幅について規制を設けている会社もあります。また、メタトレーダー(スマホ含)でも設定できます。
逆指値(損切)幅の考え方
値幅観測・計算を取り入れることで、決済ポイントが予測できますが、もちろん順調にいくわけではありません。上記したように「調整(修正)」を挟みながらチャートは進みますし、ファンダメンタルズ(ニュース)などで大きく逆行することもあります。その際に、「伸ばした利益がなくなってしまった」という経験をしたトレーダーも多いと思われます。
上級者であっても「予測できない事態」と隣り合わせでトレードしているので、「損切設定」は必ず必要なのです。
損切幅についてはそれぞれ考え方がありますが、大事なのは口座残高です。つまり、証拠金維持率について、ロスカットにならないように考慮する必要があります。「〇〇pipsの幅で損切」という言葉を聞きますが、「pips」で決める前に口座残高と相談してください。今後のトレードに響かない程度、「損切していいのは資金の1%」というトレーダーもいます。
また、ダウ理論に則り「前高値・安値を基準にする」決め方もあります。これも口座残高に余裕が必要です。すべては資金管理につながります。ロスカットされない、今後のトレードに響かない設定を考えましょう。
トレール設定については、あくまである程度増えた利益を伸ばすことが目的なので、保険的な考え方です。わかりやすい設定にしておくといいでしょう。
我慢できるメンタルが必要:まとめ
値幅観測・計算をすることにより、決済ポイントが判断できるのですが、トレンドを追うのは時間がかかります。目標までガマンするということは、なかなか大変ですよね。分足など下位時間足でのトレードだと1日のデイトレで完了するかもしれませんが、トレンドフォローのトレードスタイルの場合は、もちろんスウィングトレードになることを覚悟しなければなりません。また、実際に動いているチャートを目の前にすると「本当にそうなるのか」と不安になり、ついつい決済をしてしまいがちです。
チャートを監視してしまうと、その動きに誰でも不安になるものです。目的はあくまで「利益を伸ばすこと(利大)」です。無理をする必要はありませんが、エントリーしたらチャートの前から離れるなど、利益を伸ばす工夫をして、徐々にメンタルを鍛えましょう。