FX【モメンタム・ROC】を使った手法とダイバージェンスについて解説します
目次
モメンタム(Momentum)とROC(Rate of Change)はサブチャートに表示されるオシレータ系テクニカル指標です。メタトレーダーにはモメンタムが標準搭載されていますが、同じ表示になるROCを採用しているチャートもあります。主に相場の強弱判断に使用されるオシレータです。Momentumを和訳すると「運動量(物理)、勢い(活動)、気運・契機」など動きに関する言葉になりますが、モメンタムが表すラインの傾きでトレンドの強弱を測ることができます。サブチャートに表示させているのはMACDやRSI、ストキャスティクスというトレーダーも多いですが、視覚的に判断がシンプルなモメンタム(ROC)を検討してみてはいかがでしょうか。
モメンタム(ROC)とは
モメンタムは、本日と〇日前の終値を比較するだけのシンプルな指標です。〇日とはパラメータに設定する「比較したい過去日の終値」であり、デフォルトでは「25」になっています。これは25日前の終値に比べて今の価格は上か、下かということが視覚的にわかるということです。例えば、一目均衡表の設定では「9・26・52」がデフォルトなので「25」で設定します。これは遅行スパン「26」と同じ意味になるため、画面をスッキリ見やすくしたい時に使うのもいいのではないでしょうか。100より上回っていれば値上がりしているので「上」目線、下にあれば「下」目線になります。また、画像中央に見られる「ダイバージェンス」も注目すべき点です。
モメンタムのチェックポイント
- モメンタム数値 = 当日の終値 - 〇日前の終値レート
- ROC = (当日の終値 ÷ 〇日前の終値レート)÷ 〇日前の終値レート × 100
この計算式が表す事柄は「市場価格の変化率」です。モメンタムが示す数値が100(ROCは0)よりも小さくなれば〇日前よりも安値で「下落傾向にある」ということがわかります。また、数値が大きく乖離しているほど「勢いがある」と判断することができるのです。
パラメータに入力する基準日に決まりやルールはなく、例としてあげた一目均衡表の数字や移動平均線で使用する数字でも構いません。ご自分が使用するインジケータに合わせて設定するのが一般的です。通常は10~25本で使用しますので、その間の数字を使います。
パラメータの数字を小さくすることで短期の値動きを測定することができますが、その分エントリーサインとしては使えません。また、50や100など長期の設定をすることで、長く続くトレンドを捕まえることが可能です。
モメンタムはレートの差を教えてくれるだけなので、RSIやストキャスティクスのように「売られすぎ」「買われすぎ」のサインはなく、1本の100ライン(または0や1)だけを判断材料にしています。それだけでエントリー判断をしてもいいのか不安になりますね。これが案外、使えるので感心しますよ。
- 下から100ラインを上に抜けたら、上昇トレンドに転換するサイン
- 上から100ラインを下に抜けたら、下落トレンドに転換するサイン
注意すべき点としては、「押し目」「戻り目」を作る時、一時的にラインを割ることがあるので、ラインを割ったからといって「=トレンド転換」とはなりません。有効的な使い方は、ローソク足が作っているトレンド方向と一致した時にエントリーを考慮できると覚えておきましょう。
モメンタムの特徴は、相場の強弱を視覚的に捉えやすいということです。例えば100ラインを下から上に抜けた時に急勾配であれば、トレンドが強いと言えます。また、下層にあっても急な上昇勾配が起これば「底入れ」の可能性を考えられます。
モメンタムラインの傾き
上記で触れたとおり、モメンタムは相場のトレンドの強弱に反応する仕様です。モメンタムラインの傾きは、そのままトレンドの強弱として捉えることができます。右図では、傾きが強いところでは勢いがあり、弱いところは緩やかに上昇していることが確認できます。
モメンタムラインの傾きがだんだん弱くなってくると、それはトレンドの終わりを示唆します。画像では弱くなった後にダイバージェンスの転換サインが表れています。
ダイバージェンス・ヒドゥンダイバージェンス
メインチャートで、ダウ理論でいうところの「高値切り下げ」の下落場面でも、モメンタムでは「高値切り上げ」になることがあります。これはMACDなどで言われる「ダイバージェンス」と同じ内容で、「トレンドの終わり」を示唆するサインです。ダイバージェンスには2種類ありますので、以下に解説します。
ダイバージェンスをみる場合、オシレータ系指標であればMACD、RSI、ストキャスティクスなど、どれでも構いませんが、ここでダイバージェンスにある2種類を解説します。実際、動いているチャートを見て、この2種類を判断するのは初心者には難しいといえます。しかし、トレードに慣れて見直す時に思い出せるように知識としては持っておきたいものです。
簡単に紹介すると、
- ダイバージェンス:トレンド転換で表れるサイン
- ヒドゥンダイバージェンス:トレンドフォローで表れるサイン
ダイバージェンスのサインが表れたら「トレンド転換」のサインとして逆張りエントリーを考慮できますが、注意しなければいけないのがヒドゥンダイバージェンスで「トレンドフォロー」かもしれない、ということです。ヒドゥンダイバージェンスとは通常のようにサインが表れても、トレンドが反転せずに継続するサインです。初心者にはリスクが高いエントリーになるでしょう。
では、見分ける方法があるのでしょうか。トレンド転換に表れるダイバージェンスは、ある程度トレンドが続いた後、例えばエリオット波動で言うところの、3波の終わりから5波で表れるサインです。対してヒドゥンダイバージェンスは1波始めから3波になる時など「押し目」「戻り目」で表れます。だいたい長いトレンドになることが多いので、間違ってしまった場合を考慮して、損切はしっかり入れておいた方が無難です。
モメンタム(ROC)を使ったエントリー手法
基準ラインとモメンタムラインのゴールデン(デッド)クロスでエントリーする方法が一般的です。簡単な手法なので、すぐにチャレンジできますね。また、初心者でも経験を積むことでダイバージェンス・ヒドゥンダイバージェンスを利用するエントリーも可能になるでしょう。
- 基準ラインとモメンタムラインのゴールデンクロス:買いエントリー
- 基準ラインとモメンタムラインのデッドクロス :売りエントリー
- ヒドゥンダイバージェンス:押し目買い・戻り売り。基準ラインに戻ったらエントリー
通常のダイバージェンスはトレンドの終わりのサインであるため、利益確定をする場面になります。
注意すべきモメンタムの動き
モメンタムは相場の強弱について得意にしていますが、レンジ相場では基準値ラインを中心に小刻みに上下する動きになります。また、ノイズが繰り返される場面では、値動きが安定せずに激しくなっていますので、注意が必要です。
ダマシの回避
ライントレードをする際に、ブレイクと見せかけた「ダマシ」があります。水平線やトレンドライン、またチャートパターンを使用したトレードでは、参加者も多いため「ダマシ」が仕掛けられることがあります。これについても、モメンタムは冷静に数値とモメンタムラインを表してくれるため、「ダマシ」だと気付くことが可能です。
モメンタムのメリット・デメリット
メリット
- シンプルである
- 相場の勢いを見ることができる
- ダイバージェンスを見つけることで、早い対応ができる
- ダマシを回避できる
デメリット
- トレンド相場の「押し目」「戻り目」で基準値を割ることがある
- 方向感がない時は基準値を行ったり来たりする
レンジ相場には向かないインジケータやオシレータは多いので、「こういう動きになったらレンジだな」とわかるだけいいかもしれません。「押し目」「戻り目」が食い込んできた時には「ヒドゥンダイバージェンスかな」と疑うことも必要です。とはいえ、これさえ押さえておけば、モメンタムはかなり使い勝手がいいオシレータといえるのではないでしょうか。
シンプル is ベスト:まとめ
オシレータ系指標は、明確な違いがわからないものが多い中で、モメンタム(ROC)は一味違う指標でした。「100基準値」のモメンタムと「0基準値」のROCは、内容も引かれるラインも同じ仕様ですが、取引する時に相関する通貨を比べる際には「100基準値」のモメンタムの方が適しているといえます。トレンドフォローに向いている通貨を乖離率で見比べることで、活発な通貨がどちらかがわかるのです。チャートによって搭載されているのがモメンタムかROCか、基準値をみることで判断できるのでチェックしてみてください。また、トレードの際には水平ラインやトレンドライン、移動平均線など他のインジケータと併用するなど工夫をすることで「根拠」にもなり、おすすめです。
いまは海外をはじめ、トレード手法をよりシンプルにすることが好まれる傾向にあります。画面をスッキリさせたり、シンプルな指標を用いることは「判断のしやすさ」につながり、トレードの勝ちやすさにもなります。根拠をたくさん探すトレードからは、そろそろ卒業してもいいのではないでしょうか。
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